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生活者と共に未来のアップサイクルを創るプロジェクト「GOMISUTEBA」を開始

~不要品をデータ化しサイバー空間上で集約・確認できるようにすることで循環型経済への移行を支援~

2021年11月25日
株式会社KDDI総合研究所

KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下「KDDI総合研究所」)は、循環型経済への移行やごみ問題の解決につながる「アップサイクル」を促進する取り組みとして、使われなくなった家具やインテリアなどを3Dデータ化しサイバー(仮想)空間上に集約することで、新しい価値を持つ製品への再生を手軽に行えるようにするプロジェクト「GOMISUTEBA(ゴミステバ)」(以下「本プロジェクト」)を、2021年11月25日から開始します。
本プロジェクトは、「ごみを捨てるという概念を捨てる」をコンセプトに、先進的なライフスタイルを実践している生活者の方々を中心とした多様なパートナーと共同で取り組む「FUTURE GATEWAY」プロジェクト第2弾です。

 

 

 

図1:GOMISUTEBAが提案するアップサイクルの工程

 

 

本プロジェクトでは、従来のアップサイクルの工程に技術を取り入れ、サイバー空間とフィジカル(現実)空間の融合を進めることで、生活者がアップサイクルを実践する際の様々な障壁を低減し、将来は誰もがアップサイクルを手軽に行える生活様式とすることを目指します。

 

「GOMISUTEBA」ページ

 

【背景】
「KDDI research atelier(リサーチアトリエ)」(東京都港区)では、中長期的な社会・生活者の課題解決に繋がる新たなライフスタイルを提案し、先端技術を用いて社会実装する取り組みを進めています。
昨今、循環型経済や環境負荷低減の観点において、ごみの排出を減らすライフスタイルへの注目が高まっています(注1)。
現在の国内の不用品発生状況を見ると、上位3件は書籍、衣類・服飾品、家具となっており、その6割以上は自宅や物置で保管され使われていない状況です。また、特に家具は他の2項目と比べてリユースショップの活用が低く、自治体にごみとして出される割合が高くなっています(注2)。

 

【概要】
本プロジェクトでは、家庭で保管され使われていない家具・インテリア(不要品)をサイバー空間上に見える化し、さらに様々な人がアップサイクルできる基盤を構築することで、循環型経済への移行に貢献します。
具体的には、サイバー空間では、3Dデータ化された不要品の情報を保管し、それらを組み合わせて新しいモノの設計を行い、完成品やそれを家に置いた状態のイメージを確認できる仕組みの構築を進めます。また、フィジカル空間では、設計したモノの素材となる不要品を製造現場へ運搬し、組み立てる環境の構築を進めていきます。

 

【今回の取り組み】
KDDI総合研究所がこれまでに実施した検証を通し、家具・インテリアのアップサイクルの普及を妨げている要因としてアップサイクルの素材となる不要品が各地に散在していること、素材を組み合わせて家具・インテリアを製作することは一般の生活者にとって難易度が高く実践しづらいこと、などが分かりました。
これらを解決するため、本プロジェクトが提案するアップサイクルの各工程(図1)において、下記の1)~3)に示す仕組みの検証や試作を開始しました。

 

1)<廃棄・回収>戸越銀座商店街(東京都品川区)において、生活者の方々から不要となった家具を回収し、アップサイクル家具を試作しました。
2)<素材化・デジタル化>不要品を3Dデータ化し、様々な人が確認できる仕組みの検証として、KDDI総合研究所の「自由視点VR」(注3)を活用し、質感や色味、使用感が再現できているか、画面越しでも伝わるかなどを検証しています。(図2)
3)<製造>家具製造スキルを持たない生活者でも、手軽にアップサイクル活動に参加できる仕組みの一つとして、組み合わせる素材に依存しないジョイントモジュールを、3Dプリンターで試作しました。(図3)

 

 

 

図2:不要品の3Dデータ(左:椅子の座面、右:椅子の脚

 

 

 

図3:ジョイントモジュールで試作したアップサイクル家具

 

 

【今後の予定】
2021年度は、KDDI research atelierに取り組みの一部を体験できる環境を構築し、先進的なライフスタイルを実践している生活者やパートナー企業が参加するアップサイクルのワークショップを開催します。そして2022年度には、3Dデータ化された素材をサイバー空間で組み合わせて家具・インテリアのデザインや製造を行う仕組みを構築し、戸越銀座商店街のような実フィールドにおいて、生活者が参加する実証実験を行う予定です。また、販売・利用された家具・インテリアがメンテナンスにより長期間利用できる仕組みや、使われなくなった際に再度利用・活用できるような循環の仕組みの構築を目指していきます。
こうした取り組みの推進にあたり、本プロジェクトではオープンな共創を志向し、参画いただける先進的な生活者やパートナー企業を幅広く募集します。

 

【補足資料】
(注1)参考:経済産業省 「循環経済ビジョン2020」
政府は、資源の投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じ付加価値の最大化を図る循環型の経済社会活動への転換の必要性について言及。

 

(注2)参考:環境省 「平成30年度リユース市場規模調査報告書」

 

(注3)複数のカメラから抽出された被写体領域を3次元コンピュータグラフィクス(3DCG)モデルとして合成することによって、あらゆる視点からの映像視聴を少ないカメラ台数で実現するKDDI総合研究所の技術。
世界初 自由視点VRリアルタイム制作システムの開発に成功

 

 

KDDI research atelierについて
KDDI research atelierは、2020年12月に、東京 虎ノ門に開設された、KDDI総合研究所の調査・応用研究拠点です。本拠点では、次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」をもとに、KDDIグループのアセットを活用しながら国内外の企業や研究機関とパートナーシップを組み、中長期的な社会・生活者の課題の解消と、生活者一人ひとりに最適化されたライフスタイルの実現を目指します。また、「KDDI Accelerate 5.0」で示した7つのテクノロジーの応用研究を推進し、実現に向けた取り組みを加速していきます。本プロジェクトは、7つのテクノロジーの中の「XR」を活用しています。

 

FUTURE GATEWAYについて
FUTURE GATEWAYは、2021年8月に、KDDI research atelierで始動した、先進的なライフスタイルを実践している生活者の方々を中心とした多様なパートナーとの共創を推進する取り組みです。FUTURE GATEWAYに参画する先進的な生活者を、「能動的に世界の制約や境界を越えていく人々」として「越境走者=t’runner(ランナー)」と呼称します。
“未来のライフスタイル”を先取りし 先進的な生活者との共創を推進する「FUTURE GATEWAY」を始動

 

 

 

<「FUTURE GATEWAY」における2030年のライフスタイル実現に向けたステップ>

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。