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災害対応向け「ドローン基地局」を用いた携帯電話位置推定技術を開発

~災害時などでの被災者の捜索活動支援を可能に~

2019年3月1日
KDDI株式会社
株式会社KDDI総合研究所

KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:髙橋 誠、以下、KDDI)と株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中島康之、以下、KDDI総合研究所)は、災害発生時の迅速な救助活動に貢献するため、ドローンに小型携帯電話基地局を搭載した「無人航空機型基地局(以下、ドローン基地局)」(注1)を用いた携帯電話位置推定技術を開発し、携帯電話捜索の実証実験(以下、本実証実験)に成功しました。これにより、災害時などで被災者の特定ができない状況(注2)においても、被災者が所持する携帯電話の位置を推定し、捜索活動を支援することが可能となります。
なお、本事業は、総務省より技術試験事務「移動型の携帯電話用災害対策無線通信システムに関する調査検討」(注3)として受託し、得られた知見を基に技術開発を実施したものです。

 

 

 

<実証実験イメージ図>

 

 

自然災害時において、倒壊した家屋や瓦礫などの中にいる被災者の捜索は緊急性が高く非常に重要です。多くの人が所持する携帯電話の位置情報を活用できると、被災者の迅速な発見につなげることができる一方、携帯電話の位置情報を収集するためには、携帯電話の事前の認証処理(注4)が必要となるため、携帯電話の契約者を予め特定する必要があります。自然災害発生時においては、一般的に被災者の特定が困難であるため、携帯電話の位置情報を収集することができず、被災者の早期発見に役立てることができないという課題がありました。

 

本実証実験では、携帯電話のエリア外において、ドローン基地局による携帯電話からの信号(LTEもしくはWi-Fiを利用)を捕捉し、携帯電話の位置を推定する技術を開発しました。
具体的には被災エリア一帯にドローン基地局を飛行させ、携帯電話から信号を受けるたびにドローンの位置を記録します。同一の携帯電話から複数の信号を受ける(注5)ことで、携帯電話のおおよその位置を推定することができます。

 

これにより、被災者の特定が困難な状況であっても、携帯電話の位置が推定される場所から捜索活動を行うことが可能となります。
今後、自治体や救助機関に対して本技術の活用に向けた詳細なヒアリングを行い、災害救助へ資することを目指します。

 

詳細は別紙をご参照ください。

 

 

 

(注1)ドローンに簡易版の携帯電話基地局システム(無線設備・モバイルコア設備)を搭載し、車載型基地局車等が到達できないエリアにおいても、ドローン単独で携帯電話のエリアを構築し、携帯電話の一部の機能を提供することが可能な基地局 。
(注2)大規模災害などの災害発生初期の段階では、災害エリアの基地局も被害を受けることが想定され、一般的には行方不明者の特定に有効な携帯電話の位置を特定することができません。
(注3)災害時に人や車両が近づけない場所に対し、ヘリやドローンに搭載して、携帯電話の通信エリアを確保するための「新システム」の実現方法や技術基準に関する調査検討を行うこと。
(注4)認証処理は、携帯電話が接続処理を行う際、携帯電話利用者と通信事業者の間に互の契約があることを確認しあう手段で、携帯電話毎に異なる認証鍵を用いて処理を行います。
(注5)携帯電話は、認証処理が成功しない(認証鍵を特定できない)場合、複数回の接続処理を試みようとします。

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。