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調査レポート R&A「日本のデジタル防災に向けた米国防災技術・事例に関する調査報告書」

2024年4月26日
株式会社KDDI総合研究所

KDDI総合研究所は、情報・システム研究機構と共同で、米国における防災システムのデジタル化について多角的な視点から調査したレポートR&Aを発行しました。

 

タイトル:日本のデジタル防災に向けた米国防災技術・事例に関する調査報告書
執筆者 :情報・システム研究機構/KDDI総合研究所

 

サマリー
近年、気候変動に伴い、自然災害が激甚化・頻発化している。これらへの対応は、世界における共通課題であり、他国の取り組みを確認することは、非常に有用である。本調査報告書では、米国における防災対応やシステムついて概観し、特徴的な事例や萌芽的な先進技術の活用動向に着目して可能な限り詳述するとともに、これを支える米国の防災の仕組みについて報告する。

 

(1)米国の取り組みは、大きく以下の3点にまとめられる。 [1]米国防災では、国家準備目標(National Preparedness Goal)を達成するため、Federal Emergency Management Agency(FEMA)をはじめとする連邦政府組織が主導しつつ、災害対応の仕組みやシステムがすべてのフェーズで整備されており、地方・州政府、自治体、民間などの数多くの組織が、Whole-Communityのスローガンの下、それらを活用して災害対応にあたっている。[2]災害データの可視化およびデータプラットフォームについては、官民連携のシステムも多く、防災に資する様々な立場の人材育成に力を入れており、教育・訓練システムが充実している。[3]災害時の初動対応・復旧作業を迅速化するためのセンシング技術も重要な役割を占め、人工衛星、ドローン、IoTの活用事例が積極的に活用されている。
(2)事前準備~災害対応~振り返りに及ぶ災害の全フェーズにおいて最新技術を取り入れながらデジタル化を実現している。また、連邦政府~地域間や官民の連携によりこの実現に必要な組織、教育・訓練、アプリケーションが充実している。つまり、全フェーズにおいて、組織横断でデジタル化を推進する仕組みが充実している。
(3)2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震をみても、日本の防災におけるデジタル化は確実に進んでおり、本震災は、日本における大規模災害の初動対応において、低軌道衛星「Starlink」を用いた通信確保や、船上基地局の共同運営、ドローンによる医薬品の輸送が行われた日本における最初のケースとなった。今後、気候変動により災害の激甚化・頻発化が予想される中においては、災害データの利活用が発展することに加え、全フェーズにおいてデータに基づいた防災対策・支援が行われることで、日本のデジタル防災が、世界規模の防災・減災を推進していくことが期待される。

 

地域:米国

 

 

 

 

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