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AI・ユビキタス分野の最難関国際論文誌IMWUTに採録

2022年9月8日
株式会社KDDI総合研究所

KDDI総合研究所とジョージア工科大学Sonia Chernova准教授, Thomas Ploetz准教授の研究グループが執筆した、宅内行動認識システムを自動構築するフレームワークに関する論文(以下「本論文」)が、AI・ユビキタス分野の最難関国際論文誌であるIMWUT(注1)に採録されました。本論文の成果は、2022年9月11日から2022年9月15日までの間、米国アトランタおよび英国ケンブリッジで併催されるAI・ユビキタス分野の最難関国際学会であるUbiComp 2022(注2)で発表されます。

 

【研究概要】
宅内に設置されたセンサー機器(注3)を用いて睡眠や食事といった居住者の行動を人工知能(AI)が認識して、家電を自動制御したり、高齢者が転倒した時に異常を検知したりするようなスマートホームのサービスは、センサー機器の低廉化や高齢化社会を背景に期待が高まっています。
一方、スマートホームのサービスを受けるためには、センサー機器がデータを取得した時と、居住者が行動した時を紐づけてAIに学習させ、行動を認識するシステムを事前に構築する必要があります。システムからスマートスピーカーなどを通してその時の行動を頻繁に質問されたり、行動を後から思い出してまとめてシステムに登録したりするなど、サービスを受けるまでに居住者の負担の大きいことが課題となっています。
本論文では、新たに住み始めるスマートホームで、AIに居住者の行動を学習させるための行動認識システムを自動構築するフレームワークを提案しました。提案フレームワークは、一定期間観測したセンサー機器のデータから、表現学習(注4)を用いることで、頻出する行動に関連するパターンを自動的かつ高精度に抽出する点が特徴です。抽出したパターンと同様の行動が観測された時点で居住者に一度質問し回答を得るだけで、これまで観測したセンサー機器のデータに対してもまとめて行動と紐付けられます。これにより、居住者の負担を減らしつつAIに効率的に学習させ、睡眠や食事などの頻出する宅内での行動を認識するシステムの自動構築が可能となります。
このフレームワークは、スマート化されたオフィスや工場などでの行動認識システムの自動構築への応用も期待されます。

 

なお、今回の成果は、KDDI総合研究所が進める海外最先端の研究者との共同研究プロジェクトによるものです。
2020年10月26日の報道発表
海外最先端の研究者との共同研究プロジェクトの開始
~次世代社会構想KDDI Accelerate 5.0の実現に向けて~

 

【原著論文情報】
Shruthi K. Hiremath, Yasutaka Nishimura, Sonia Chernova, Thomas Plotz. “Bootstrapping Human Activity Recognition Systems for Smart Homes from Scratch”, The 2022 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (UbiComp 2022).  

 

KDDIとKDDI総合研究所は、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定し、その具体化に向け、イノベーションを生むためのエコシステムの醸成に必要と考えられる「将来像」と「テクノロジー」の両面についてBeyond 5G/6Gホワイトペーパーにまとめました。両社は新たなライフスタイルの実現を目指し、7つのテクノロジーとそれらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進します。今回の成果は7つのテクノロジーの中の「AI」に該当します。
KDDI総合研究所は2022年4月よりHuman-Centered AI研究所を設立して人とAIが共生し、インタラクションを通じて共に成長する技術の研究開発を推進しています。本論文の研究成果を基に、過去データの無いもしくは少ない状況で、他の種類のデータを活用した高精度な予測技術の実現に向け、引き続き取り組んでいきます。

 

 

(注1)Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies, 例年の論文採録率は20%-25%
(注2)The 2022 ACM international joint conference on pervasive and ubiquitous computing (UbiComp 2022)
(注3)人感センサー、ドアや窓の開閉センサー、温度センサーなど
(注4)検知や分類(行動認識など)のためのデータの表現方法を学習する技術

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。