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プライバシー分野の国際学会PETS 2022に研究論文が採録

2022年5月12日
株式会社KDDI総合研究所

2022年3月12日、ユーザーのパーソナル情報を扱うソフトウェアに対するプライバシー懸念の実態を調査分析したKDDI総合研究所の研究論文が、プライバシー分野の難関国際学会である「PETS(Privacy Enhancing Technologies Symposium)2022」に採録(論文採録率19%、PETS2021実績)されました。

 

【研究概要】

パーソナル情報を誤ってソーシャルメディアに投稿してしまい、プライバシーが侵害される脅威が深刻なものとなりつつあります。このリスクからユーザーを守るために、投稿するテキストや画像を解析して、プライバシー侵害の恐れがある場合の警告や、リスクを減らす加工を行う「プライバシー保護ツール」が利用されています。しかし、的確にプライバシーを保護するためには、ツールがユーザーのパーソナル情報を取り扱う必要があるため、このようなツール自体に対しても、プライバシー侵害の懸念が生じます。本論文では、プライバシー保護ツールに対する懸念の具体的内容と、懸念を低減するためにユーザーに好まれる対策手段について、技術的に同様の仕組みを用いた、娯楽等の目的でテキストや画像を加工する「娯楽ツール」を比較対象とする調査分析を行い、世界で初めて、その実態を解明しました。調査結果の分析より、ツールによる監視やプライバシーの侵害、情報の二次利用について、プライバシー保護ツールは、娯楽ツールよりも大きな懸念が示されることが判明しました。今回の研究で得られた知見は、ユーザーのコンテンツを扱うプライバシー保護ツールの開発に際して、安心して利用されるツールを提供する指針の確立への貢献が期待されます。

 

【原著論文情報】
Vanessa Bracamonte, Sebastian Pape, and Sacha Loebner. “All apps do this”: Comparing Privacy Concerns Towards Privacy Tools and Non-Privacy Tools for Social Media Content. Proceedings on Privacy Enhancing Technologies 2022. 

 

KDDIとKDDI総合研究所は、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を加速する、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を、2020年8月に策定しており、当社は、その一環として「ユーザーセントリックなプライバシー保護」に関する研究を推進しています。本論文の研究成果を基に、ユーザーの信頼感や納得感を伴って、プライバシーを保護する技術の実現に向け、引き続き研究開発を推進していきます。

 

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