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ユーザーモデリング分野の国際誌「UMUAI」に、研究論文が採録

2021年2月22日
株式会社KDDI総合研究所

パーソナリティが広告デザインの訴求力認知に与える影響のモデリングに関するKDDI総合研究所の研究論文が、ユーザーモデリング分野で影響力のある国際誌「User Modeling and User-Adapted Interaction (以下、UMUAI)(注1)」に採録されました。

 

KDDIとKDDI総合研究所は、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を加速する、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を、2020年8月に策定しました。当社は、その一環として「行動変容のためのAI」に関する研究を推進しています。本論文の研究成果を基に、自己実現や、健康増進、環境保護などの行動変容を促すコミュニケーションの最適化に向け、引き続き研究開発を推進していきます。

 

【研究概要】

一人ひとりのユーザーが広告デザインから感じる訴求力、すなわちどのくらい広告を好意的に受け止めるか、をユーザーのパーソナリティと広告デザインの特徴を用いてモデル化し、このモデルを用いて広告配信を行うことで、ウエブ広告のクリック率や購買率が高まることを明らかにしました。

 

これまでの研究で、例えば携帯電話の広告の場合、外向的なユーザーには防滴・防塵などのアウトドア機能を強調したデザインの広告を配信し、好奇心の強いユーザーには最先端の機能搭載を強調したデザインの広告を配信する、といったように各々のパーソナリティに合わせたデザインの広告を配信することが効果的であることが知られていました。しかし、デザインや心理学の専門家の関与無しにこうした広告配信を実施することは、これまで不可能でした。

 

今回の論文では、広告デザインから抽出した数値的な特徴量(注2)と、質問紙で測定したユーザーのパーソナリティを用いて、機械学習によりユーザーが感じる訴求力の予測モデルを構築することで、専門家の暗黙知に依らず、ユーザーのパーソナリティに合わせたデザインの広告を配信する手法を提案しました。さらに、アンケートデータを用いた実験により、従来研究で提案されていた手法に比べて、ウエブ広告のクリック率、広告商品の購買率が向上することを確認しました。

 

詳しい論文内容はコチラ

 

【原著原著論文情報】

Yuichi Ishikawa, Akihiro Kobayashi, and Daisuke Kamisaka. 2021. Modelling and Predicting an Individual’s Perception of Advertising Appeal. User Modeling and User-Adapted Interaction (in press). DOI : 10.1007/s11257-020-09287-z

 

(注1): User Modeling and User-Adapted Interaction, Impact Factor: 4.682, 5 year Impact Factor: 5.383 。エルゼビア社が発表するジャーナルの影響力を示す指標で、掲載された1本の論文が過去3年間に引用された回数の平均値から計算されるCite Scoreのランクが、Human-Computer Interaction, Computer Science Application, Educationの各カテゴリで、それぞれ108誌中8位、636誌中35位、1254誌中6位と上位を占めます。(2021年2月22日時点)

(注2) ウエブ広告クリエイティブにおける色使いや明度などの視覚的特徴と、広告メッセージに使用される単語などの言語的特徴をコンピュータプログラムにより抽出。

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。