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国内初、曲がる太陽電池「ペロブスカイト型」を活用した基地局実証を開始(更新)

~電柱型基地局のポールに巻き付け、敷地面積が少ない基地局で太陽光発電可能に~

2023年12月6日
(2024年3月7日更新)
KDDI株式会社
株式会社KDDI総合研究所
株式会社エネコートテクノロジーズ

KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠、以下 KDDI)、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下 KDDI総合研究所)、株式会社エネコートテクノロジーズ(本社:京都府久世郡久御山町、代表取締役社長 CEO:加藤 尚哉、以下 エネコートテクノロジーズ)は2024年2月から、カーボンニュートラルの実現に向け、曲がる太陽電池「ペロブスカイト型(以下 ペロブスカイト太陽電池)」「CIS型太陽電池(以下 CIS太陽電池)(2024年3月7日更新)」「CIGS型(以下 CIGS太陽電池)」を活用した「サステナブル基地局」(注1)(以下 本基地局)の実証実験(以下 本実証)を群馬県で開始します。
ペロブスカイト太陽電池で発電した電力で商用基地局を運用する実証実験は国内初(注2)となります。

 

KDDIは2023年6月9日から、太陽光パネルを活用した「サステナブル基地局」を運用開始しました(注3)。一方、基地局の多くを占めている電柱型基地局やビル設置型基地局など、敷地面積が狭く太陽光パネルの敷設が難しい基地局への展開が課題でした。
本実証では、「薄い・軽い・曲げやすい」といった特長を有し、次世代の太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池を、電柱型の基地局に設置したポールに巻き付けます。これにより、敷地面積の少ない電柱型の基地局でも太陽光発電を可能とし、「サステナブル基地局」の拡大を目指します。

 

3社は今後も、カーボンニュートラルの実現に向け、エネコートテクノロジーズのペロブスカイト太陽電池の技術をKDDIの基地局に活用することで、本基地局の商用展開および「サステナブル基地局」の拡大を目指していくほか、ペロブスカイト太陽電池の基地局以外への活用を検討していきます。

  

 

 

<本実証のイメージ(2024年3月7日更新)>

 

 

 

<曲がる太陽電池を活用した「サステナブル基地局」(2024年3月7日更新)>

 

 

 

<ペロブスカイト太陽電池の設置写真(2024年3月7日更新)>

 

 

 

<従来の「サステナブル基地局」の写真>

 

 

■ 背景
・KDDIは、電力などのエネルギー消費を通じて年間約94万トンのCO2を排出しており、これは一般家庭の約40万世帯分に相当します。基地局に関連する電力使用量はKDDI全体の電力使用量の約5割を占めており、基地局の省電力化が重要な課題となっています。
・KDDIは、深夜などお客さまの通信量が少ない時間帯に、基地局を一部スリープすることで電力使用量を最大30%削減しています。また、24時間365日CO2排出量実質ゼロの「サステナブル基地局」の運用を開始するほか、10通信局舎の購入電力を各地域電力会社のカーボンフリープランへ切り替える(注4)など、通信設備におけるカーボンニュートラルの取り組みを行っています。

 

本実証を通じて「サステナブル基地局」をより一層拡大し、カーボンニュートラルの取り組みを加速していきます。

 

■ 本実証について(2024年3月7日更新)
1.概要
・曲がる太陽電池を巻き付けたポールを電柱型基地局に10本設置します。基地局本体の電柱から少し離した位置にポールを設置することで、ケーブル配線などへの影響を最小限にし、発電効率の最大化を図ります。
・本実証での設置方法による発電効率を測定し、本基地局の有用性や設置方法を検証します。また、ペロブスカイト太陽電池・CIS太陽電池・CIGS太陽電池の発電効率や設置上の課題を比較します。
・曲がる太陽電池による発電で不足している電力は、カーボンフリープラン(注5)の電力を活用することで、24時間365日CO2排出量実質ゼロを実現します。発電ができない夜間や悪天候時には、CO2排出量実質ゼロとなるカーボンフリープランの電力を活用します。

 

2.設置方法

   

 ポールの直径ポールの長さ本数
ペロブスカイト太陽電池(注6)15cm120cm4本
CIS太陽電池15cm120cm2本
CIGS太陽電池70cm80cm4本

 

  

3.実証期間
2024年2月から最大で約1年間を実施予定。

 

■ ペロブスカイト太陽電池について
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造を持つ化合物を用いた次世代の太陽電池です。実用化に向けて世界中で開発が進んでいますが、一般的に「20%以上の高い発電効率を持つこと」と「薄い・軽い・曲げやすい」という特長があります。エネコートテクノロジーズは、ペロブスカイト太陽電地の材料開発、モジュールの製品化に取り組んでいます。
なお、KDDIはKDDI Green Partners Fund(注7)を通じてエネコートテクノロジーズに出資しています。

 

■ 各社の役割

 

KDDIペロブスカイト太陽電池を用いた基地局の開発・構築・運用、実証実験の推進
KDDI総合研究所ペロブスカイト太陽電池の性能評価、太陽光発電の基地局設置の知見を生かした技術支援と実験データの解析
エネコートテクノロジーズペロブスカイト太陽電池の提供
(この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果、得られたものです。)

 

 

(参考)KDDIのCO2排出量削減に向けた取り組み

 

通信設備の取り組み・携帯電話基地局や通信局舎で使用する電気の再生可能エネルギー電気への切り替え
 (非化石証書の活用を含む)
・携帯電話基地局への太陽光発電設備の導入
・携帯電話基地局や通信局舎における省電力技術の導入
・携帯電話基地局設備の他社との共用(注8)
・エネルギー効率が高い通信局舎の新設
・通信局舎利用状況に応じた空調効率の最適化(注9)
オフィスの取り組み・自社オフィスへの再生可能エネルギー導入
・2025年春めどに移転する本社のCO2排出量実質ゼロ化(注10)
その他・社内炭素価格(インターナルカーボンプライシング)制度の導入(注11)
・災害時など非常時の電源車への水素発電の導入(注12)
・KDDI Green Partners Fundを通じた環境取り組みへの投資

 

 

 

(注1)「サステナブル基地局」は、太陽光パネルの設置に関わらず、2023年度以降に設置する、カーボンニュートラルなどサステナビリティに貢献できる要素が盛り込まれた基地局のことです。
(注2)2023年11月末時点。KDDI調べ。
(注3)24時間365日CO2排出量実質ゼロの「サステナブル基地局」を運用開始
~太陽光パネルとCO2排出量実質ゼロプランで、カーボンニュートラルを実現~
(注4)2022年9月22日 ニュースリリース
国内通信局舎使用電力を実質再生可能エネルギー由来へ切り替え開始
6通信局舎に加え、12月1日時点でTELEHOUSE仙台(仙台第二ネットワークセンター)、山口衛星通信所、TELEHOUSE広島(広島第二ネットワークセンター)、金沢ネットワークセンターもカーボンフリープランへ切り替えています。
(注5)電力会社の電源と環境価値証書をセットにすることで、再生可能エネルギー実質100%かつCO2排出実質ゼロとみなすことができるプラン。太陽光発電による電力で不足している分にカーボンフリープランの電力を使用します。
(注6)ペロブスカイト太陽電池については、エネコートテクノロジーズが開発したペロブスカイト太陽電池を活用します。
(注7)KDDI Green Partners Fund
(注8)2020年4月1日 ニュースリリース
KDDIとソフトバンク、地方における5Gネットワークの早期整備を推進する合弁会社を設立
(注9)2022年3月22日 ニュースリリース
IntelとKDDI、通信局舎のCO2排出削減に向け覚書を締結
~国内初、トラフィックに応じて通信用サーバーを制御し、電力消費量20%削減~
(注10)2023年5月16日 ニュースリリース
「TAKANAWA GATEWAY CITY」へ本社を移転
~CO2排出量「実質ゼロ」環境先導のサステナブルなまちづくりをJR東日本とともに推進~ 
(注11)「サステナブル基地局」の投資判断に、インターナルカーボンプライシング制度を活用しました。
2023年2月28日 ニュースリリース
社内炭素価格 (インターナルカーボンプライシング) 制度を導入
~CO2排出量を費用換算、カーボンニュートラル実現に向け省エネ・創エネ投資を加速~ 
(注12)2021年8月17日 ニュースリリース
水素発電の電源車を活用、CO2排出ゼロで基地局を運用する実証実験を実施

 

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