- KDDI research atelier
メーカーや用途不問、多様なロボットの一元管理が可能なプラットフォームの実証を開始
~ロボット活用の障壁を解消し、労働力不足の課題解決に寄与~
2022年11月17日
KDDI株式会社
KDDI総合研究所
KDDIとKDDI総合研究所は、2022年11月17日から、クラウド上でメーカーや用途を問わず多様なロボットを一元管理する「ロボットプラットフォーム」(以下「本プラットフォーム」)の実証(以下「本実証」)を開始します。
現状、配送・見回り・清掃など用途やメーカーが異なるロボットはそれぞれ管理が必要なケースが多く、管理者の負担が大きいため、複数種類の導入が難しくなっています。本実証では、本プラットフォームが有する、さまざまな種類のロボットをクラウド上で一元管理する機能や、ロボットが移動する際の障壁となるセキュリティゲートやエレベーターなどの建物設備との連携機能について検証します。これにより、管理者の負担を軽減し、円滑なロボット運行を目指します。
今後、パートナーとの実証を重ねながらプラットフォームの機能を順次拡充し、ロボットの活用によるDXの加速で日本の労働力不足の解消へ貢献していきます。
<本プラットフォーム概要>
■ 背景
2030年の日本においてはサービス業を中心に644万人の労働力が不足すると推定(注)されています。そのため、配送、清掃、見回りなどさまざまなサービスでロボットを活用するための取り組みが行われています。
しかし、現状はメーカーや用途ごとにロボットの管理が必要となるケースが多く、管理者の負担が大きいため複数種類のロボットを導入することが困難です。また、セキュリティゲートやエレベーターといった建物設備はロボットが移動する上での障壁となります。建物内を円滑に移動するためにはシステム改修や工事により、それぞれの建物設備と連携する必要があります。
将来的には複数種類のロボットが連携して仕事をするようなケースが想定されるため、ロボットを集中制御する仕組みや建物設備との効率的な連携が求められています。
KDDIは KDDI VISION 2030を掲げ、お客さま企業のDXの加速に取り組んでいます。KDDIの持つ5Gなどの通信基盤とパートナーの持つさまざまな知見を掛け合わせ、新たな価値の創造を目指しています。
■ 本実証の概要
本実証では、まずは本プラットフォームに、研究拠点であるKDDI research atelier(東京都港区)に設置した異なる種類のロボット2台とセキュリティゲートを接続します。本プラットフォームからロボット2台に対して動作指示が送られ、ロボットから本プラットフォームに走行状態や現在地などの情報が送信されます。本プラットフォームはそれらの情報を元にセキュリティゲートの開閉を行います。このような一連の動きを通じて、ロボットがスムーズにセキュリティゲートを通過できることを検証します。さらに、2022年度中にセキュリティゲートに加え、エレベーターとの連携を実現し、ロボットが自由に動ける範囲を拡大していきます。
■ 本プラットフォームの特徴
両社は、モバイル通信を介してクラウド上の本プラットフォームとオープンソースのロボット開発ソフトウエア「ROS(Robot Operating System)」対応のロボットを接続し、ロボット活用にあたっての課題を解決していきます。
1.複数種類のロボットの一元管理
本プラットフォームには、異なるメーカーや用途のロボットを接続します。接続されたロボットからは、ロボットの通信品質、走行状態、現在地、電池残量などの情報を取得できるほか、ロボットに対して動作を指示することもできます。これにより、管理者は本プラットフォームのみで配送、清掃、見回りなどのさまざまな用途のロボットの管理が可能となります。また、本プラットフォーム上で一元管理することで、ロボット同士の衝突回避や連携動作も可能になります。
<本プラットフォームの管理画面イメージ>
2.建物設備との連携
本プラットフォームはセキュリティゲートやエレベーターなどさまざまな建物設備と接続します。これにより、本プラットフォームに接続するロボットは短期間かつ低コストで建物設備と連携することが可能となります。
また、建物設備のメーカーにおいても、本プラットフォームを利用するロボットサービスの提供者・利用者と継続的に接点を持つことが可能となり、フロー型ビジネスからリカーリング型ビジネスの転換など、ビジネスモデルの変革に貢献します。
■ 将来的な取り組み
本プラットフォームには共通で利用できる地図、ID・決済などの機能も集約していく予定です。
本プラットフォーム上で必要な機能を処理することでロボット本体での処理を削減し、ロボット本体のコスト低減に寄与します。加えて、新たな機能追加などの柔軟性も向上します。
また、低遅延が求められる本プラットフォームの一部機能をMEC上に構築することや、ロボットと本プラットフォーム間のやり取りに5G SAの特長であるネットワークスライシングを活用することを目指します。これにより、ロボットの用途に応じた品質のネットワークが提供可能となり、複数のロボットを同時に制御する際も安定したサービス提供が可能となります。各ロボットにおいても、ロボット制御や遠隔監視映像伝送などのやり取りに適切な通信環境を提供することで、ロボット本体で処理を行っている場合と比較して遜色がない動作の実現を目指します。
KDDIとKDDI総合研究所は、本プラットフォーム開発を通じてロボットの社会インフラ化を推進し、お客さまのライフスタイルを変革するととともに誰もが思いを実現できる社会づくりに貢献していきます。
(参考)
■ KDDI research atelierについて
KDDI総合研究所の調査・応用研究拠点です。生活者・社会の長期的課題を解決し、生活者一人一人に最適化されたライフスタイルを実現するため、国内外の大企業やスタートアップ、および生活者との共創を推進しています。
(注)パーソル総合研究所 労働市場の未来推計 2030
※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。