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オンラインでも乾杯の感触を

触覚技術で遠くにいる人との気持ちがつながるコミュニケーションシステム「Sync Glass」を開発

2021年3月15日
株式会社KDDI総合研究所

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下「KDDI総合研究所」)は、五感の再現・表現技術を活用して遠くの人と気持ちがつながるインタラクションを実現するための、ハプティクス(触覚技術)分野の研究開発の一環として、「乾杯」や「お酌」といった懇親に関わる身体的コミュニケーションが可能なグラス型コミュニケーションシステム「Sync Glass」を開発しました。これにより、リモートでの飲み会や、動画配信者のオンラインイベントなど、オンラインコミュニケーションでのつながり感をより豊かにすることができます。

 

 

 

 

【背景】
新型コロナウィルスの蔓延を受けて、三密になりがちな多人数でのイベントの開催が難しい状態が続いています。一方でこれまで行っていたイベントを、オンラインコミュニケーションツールを用いてバーチャルに実施する機会が増えていますが、対面ならではの触れ合いを感じるコミュニケーション手段は提供されておらず、対面のような身近にいる感覚が得られないことが課題でした。

 

【今回の成果】
このたび、KDDI総合研究所は、五感の再現・表現技術を活用して遠くの人と気持ちがつながるインタラクションを実現するための研究開発の一環として、遠くにいる人と「乾杯」や「お酌」といった食事中の身体的コミュニケーションが可能なグラス型コミュニケーションシステム「Sync Glass」を開発しました。
グラス型のデバイスには、情報処理や通信を行うIoTモジュール、グラスの動きを取得するセンサ、振動をリアルに表現する触感提示デバイスおよび触感に合わせて光るLEDを搭載しています。インターネット経由でサーバに接続し、乾杯の動作検出と同時に乾杯している遠隔地の他の利用者を検索して触感情報を相手のグラスに向けて伝送します。また、乾杯だけでなく、お酌の動作をすることで、お酌の触感を同様に伝送することも可能です。お酌をされた人のデバイスは、お酌された量の分だけLEDが明るく光り、デバイスを傾けたり回したりすると中で飲み物が動いている触感を体感することができます。

 

特定の触感を表現するために、既存の手法では、触感波形(音声波形や加速度波形)を収録して波形そのものを再生する、あるいは収録した波形の特徴量(周波数など)をパラメータとして波形合成するという手法が一般的でした。この方法では、乾杯やお酌のような動作の強度で振動波形が変化するものに対しては、そのパターンごとに波形の収録が必要であり、多様な触感を表現できませんでした。
この度開発した手法では多様な触感を表現するために、2つの信号波形(衝突感を表現する減衰振動と摩擦感を表現する白色雑音)のみを用い、その信号波形の形状を定める数値(「周波数」「強度」「減衰率」「再生間隔」)を動作に応じて制御するモデルを構築することにより、多様な触感をリアルタイムに合成する技術を新たに開発しました。今回はこの技術を用いて、「乾杯」感(グラスの衝突感)、「お酌している/されている」感(液体の衝突感)、「飲み物がグラスの中で動いている」感(液体の摩擦感×衝突感)の触感を、グラスを動かす速度や傾ける角度に応じて変化させています。

 

 

 

感触の伝送と生成の仕組み

 

 

【今後の展望】
KDDI総合研究所は、ハプティクス(触覚技術)分野の研究を推進するため、本技術を活用したユースケースを拡充しながら技術検証を行い、オンラインコミュニケーションにおいて、気持ちがつながるインタラクションの具体的な課題の抽出と解決の知見を広げ、斬新でワクワクするニューノーマル時代のライフスタイルの実現を目指します。

 

 

 

 

■ KDDI総合研究所の取り組みについて
KDDI総合研究所はKDDIと共に、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を加速する、次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定しました。両社は、ネットワーク、プラットフォーム、ビジネスの3レイヤの環境整備を進めると共に、3つのレイヤを支える先端技術となる7つの分野のテクノロジーと、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進します。
今回の成果は7分野のテクノロジーの中の「XR」に該当します。

 

 

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