
- 先端技術研究所
KDDIと東京大学、ポスト5G時代の通信インフラの省電力化やAI主導の運用技術の研究が経済産業省・NEDOに採択
2020年12月4日
KDDI株式会社
国立大学法人東京大学
株式会社KDDI総合研究所
KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:髙橋 誠、以下、KDDI)、国立大学法人東京大学(所在地:東京都文京区、総長:五神 真、大学院情報学環中尾研究室(教授:中尾彰宏)、以下、東京大学)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が行った「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(注1)」に関わる公募に対して、「超知性コンピューティングアーキテクチャの研究開発(注2)」(以下、本研究開発)を提案し、2020年10月27日に採択されました。
本研究開発は、通信トラフィックが5Gの10~100倍規模となるポスト5G(注3)後半の膨大なトラフィック処理に対応するため、通信インフラの高性能化と省電力化を両立する技術とAI主導のネットワーク運用技術の研究を推進します。
なお、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下、KDDI総合研究所)はKDDIの協力先として本研究開発に参画します。
■ ポスト5G後半の課題
ポスト5G後半以降では、現在の10〜100倍規模の通信トラフィックとさらなるサービスの多様化が見込まれています。これにより発生する2つの課題に取り組みます。
課題1:電力破綻
通信インフラの消費電力が増加し、特に分散局などの電力供給が限定的な場所で仮想通信機器の高性能化に限界が出てくるため、仮想通信機器の高性能化と省電力化の両立が必要
課題2:適切な学習データ抽出
サービス多様化におけるAI主導の高度なネットワーク運用では、学習空間の肥大化でデータ処理が追いつかないことにより適切な学習データが不足することを回避するため、バーチャルな空間でデータを増やし適切な学習データを抽出し学習する手法が必要
<ポスト5G後半の課題>
■ 本研究開発の技術概要
1.高性能・省電力コンピューティングアーキテクチャの研究開発(担当:KDDI)
課題1に対し、CPUに加えて、FPGA(注4)やGPUなどの汎用的なハードウェアを仮想通信機器の演算内容に合わせて適切に割り当て、高性能かつ省電力な通信機器を実現するためのハードウェア構成技術を確立します。
2.超知性ネットワークの研究開発(担当:東京大学)
課題2に対し、実ネットワークでは取得が困難なデータを疑似的に実データから仮想データ生成する手法と、生成データとシミュレーターを使用して短期間でAIがネットワークの運用に必要な学習を行う技術を確立します。
<本研究開発の技術概要>
KDDI、東京大学、KDDI総合研究所は、ポスト5G時代の多様化するサービスの実現に向け、今後もさまざまな課題の解決に向けた研究に取り組んでいきます。
(注1)「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)」に係る公募について
(注2)「高性能・省電力コンピューティングアーキテクチャ」と「超知性ネットワーク」の2項目で各2つの研究を行う。
「高性能・省電力コンピューティングアーキテクチャ」研究内容
・仮想通信機器の各機能の処理内容に応じて適切にアクセラレータを割り当て、高性能化と省電力化の両立を実現する「仮想通信機能の選択的アクセラレータ構成技術」
「超知性ネットワーク」研究内容
・仮想的に必要な疑似データを生成し、模倣学習をさせることで効率的な学習を促す「実データをサンプルとした疑似データの生成技術」
・疑似データ生成とネットワークシミュレータを用いてレアなイベント学習も可能とする「多岐にわたるイベントの学習手法の開発」
(注3)各国でモバイル向けの商用サービスが始まっている「大容量」通信に対し、さらに「超低遅延」や「多数同時接続」といった機能が強化された5G。
(注4)Field Programmable Gate Arrayの略で、製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路。
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