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世界初、青色LED光無線通信技術を用いた海中のスマートフォンとの通信実験に成功

~新たな海中生活圏/経済圏構築を目指して~

2019年10月2日
株式会社KDDI総合研究所

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中島康之、以下「KDDI総合研究所」)は、スマートフォンの新たな利用シーン創出を目的として、2019年9月、静岡県沼津市沿岸にて青色LED光無線通信(注1)技術を用い、防水対策を施した海中のスマートフォンから陸上に向けたライブ映像の配信と、陸上から海中のスマートフォンに向けたSNSメッセージ配信の実証実験を行い成功しました。スマートフォンを海中で光無線ネットワークに接続した実証実験は世界初(注2)で、今後、海中のレジャーや作業といった分野で、スマートフォンの新たな市場の創出が期待されます。
本実験の詳細は、2019年10月15日(火)から10月18日(金) に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される展示会「CEATEC 2019」のALANコンソーシアム(注3)のブース(ホール2、小間番号D004)に展示します。

 

 

 

実証実験イメージ図

 

 

 

実証実験の様子

 

 

【背景】
近年、海中での作業やレジャーのための無線通信の必要性の高まりとともに、水中での低遅延・大容量の無線ネットワーク構築への期待が大きくなっています。現在、水中では音波による無線通信が一般的ですが、伝送速度が限られており、動画像などの情報量の多いデータのリアルタイム通信には適していません。そこで、水中でも低遅延・大容量の無線通信が可能な、LED光無線通信技術に期待が寄せられています。LED光無線通信技術は、従来、専門家の間ではよく知られていて、大規模な設備での検証は進んでいるものの、一般の認知度は高いとは言えませんでした。KDDI総合研究所は一般用途を想定し、スマートフォンでもこの通信技術が利用できないか、これまで検討を進めてきました。

 

【今回の成果】
水中での光無線通信が可能な距離は、水の濁りによって変わってきます。今回の実証実験では、青色LED光無線通信装置(太陽誘電株式会社製の試作品)を使って海面から水深5メートルまで光無線通信が可能であることを確認したうえで、防水対策を施したスマートフォンを接続し、海中から陸上に向けたライブ映像の配信(VistaFinder Mx(注4)を使用)と、陸上から海中のスマートフォンに向けたSNSメッセージ配信に成功しました。

 

【今後の展望と課題】
今後、青色LED光無線通信技術の研究開発が進展すると、通信距離がさらに長くなり、海中Wi-Fiスポット等の構築につながっていくことが期待されます。KDDI総合研究所は、このような新たな海中生活圏/経済圏の実現に向け、研究開発や技術調査・検証を進めていきます。

 

 

 

(注1)青色に光る発光ダイオードを用いた可視光による無線通信。水中において青色LED光は減衰率が比較的低い。
(注2)2019年10月2日現在、青色LED光無線通信技術を用いた海中のスマートフォンとの通信実験に成功が世界初(KDDI総合研究所調べ)。
(注3)ALAN(Aqua Local Area Network)コンソーシアムは、2018年に、海中光技術で世界をリードし新たな市場創出や社会課題の解決を目指し設立。事務局は電子情報技術産業協会(JEITA)。
(注4)VistaFinder Mxは、KDDI総合研究所が開発した遠隔地からスマートフォンなどで撮影した映像を安全・高品質に伝送する遠隔作業支援システム。

 

 

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