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世界初 H.265マルチビュー拡張方式対応4Kリアルタイム符号化システムの開発 ~4Kマルチアングル映像、4Kフリーナビゲーション映像の家庭向け展開を可能に~

2014年10月3日
株式会社KDDI研究所

 株式会社KDDI研究所は、エンコーダ制御の最適化技術と処理速度の改善技術により、マルチアングル映像用の符号化標準であるH.265マルチビュー拡張方式に準拠した4K対応リアルタイムエンコーダを開発し、複数の4K映像のリアルタイム伝送を実現しました。

 

【背景】

 4Kテレビの本格的な家庭普及を目指した4K試験放送が2014年6月から開始されましたが、2020年東京オリンピックに向け、競技シーンを高精細かつあらゆる視点で楽しめる新しい映像体験も期待されています。それに伴い、2014年7月、マルチアングル映像の効率的な圧縮符号化を目指したH.265マルチビュー拡張方式が新たに国際標準として規格化されました。新方式は、異なるカメラ間の画像フレームの類似性を利用して圧縮しており、さらなる帯域削減効果が得られるのが特徴です。しかし、符号化方式の効率化やマルチアングルならではの膨大な処理量の削減が課題となっていました。

 

【今回の成果】

 このたび、エンコーダ制御の最適化技術と処理速度の改善技術の開発により、世界で初めて、マルチビュー拡張方式対応4Kリアルタイムエンコーダの試作に成功しました。エンコーダ制御の最適化技術では、移動するオブジェクトの輪郭に合わせて最適な処理ブロックサイズを判定することで最大15%圧縮率を向上し、処理速度改善技術では、カメラ間のブロック対応関係をもとに符号化処理の基本情報を継承することで、動き情報などの探索数を大幅に削減しリアルタイム化に必要な100倍の高速化を実現しました。CATV/FTTH網での伝送を想定した実験では、実際にサッカーの試合を4台の4Kカメラで撮影し、4K試験放送と同等の35Mbps程度まで圧縮し映像伝送しました。本技術により、将来的に家庭向けマルチアングル映像やユーザが視聴アングルを自由に切り替えられるフリーナビゲーション映像の配信が可能となります。

 

【今後の展望】

 KDDI研究所は、今後、更なる圧縮率の向上に努めるとともに、実際の回線を使った実証実験による本技術の検証を行っていきます。

 また、本開発成果は、千葉県幕張メッセで10/7~10に開催されるアジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展である「CEATEC2014」超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)ブースにて展示いたします。

 

 本技術の詳細については参考資料をご参照ください。

 

以上

 


※本研究成果は、独立行政法人情報通信研究機構((以下NICT)理事長:坂内正夫、本部:東京都小金井市)の委託研究「革新的な三次元映像技術による超臨場感コミュニケーション技術の研究開発 課題カ-1三次元映像End-to-End通信・放送システム(リアルタイムシステム)」により得られたものです

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。