
第62回(令和6年度)電子情報通信学会 業績賞(ロ号)を受賞
~H.266|VVCの国際標準化と実用化に貢献~
2025年6月16日
株式会社KDDI総合研究所
KDDI総合研究所は2025年6月5日、「H.266|Versatile Video Coding(以下 H.266|VVC)(注1)の国際標準化と実用化研究の推進」に関する研究開発(以下 本研究開発)が令和6年度 電子情報通信学会の 「第62回(令和6年度)電子情報通信学会 業績賞(ロ号)」を受賞したことをお知らせします。
電子情報通信学会 業績賞(ロ号)は、電子工学および情報通信に関する新しい機器や方式の開発、改良、国際標準化において顕著な成果を上げ、その業績が明らかになった貢献者に贈呈されるものです。
総務省で検討されている次世代の高度地上デジタルテレビジョン放送は、4K/8K衛星放送で実現している超高精細度のテレビ放送を目指しています。しかし4K/8K衛星放送と比べ、映像伝送に利用できる周波数帯域が狭いため、4K/8K衛星放送で使用されている映像符号化方式 H.265|HEVC(High Efficiency Video Coding、以下 H.265|HEVC)(注2)よりも、高効率な映像符号化方式が必要です。
本研究開発では、H.265|HEVCに対して2倍の映像符号化性能を実現するH.266|VVCの国際標準化と実用化研究に貢献しました。
■ 本研究開発の概要
H.266|VVCの国際標準化の活動では、2018年から2022年の期間にJVET(Joint Video Experts Team、以下 JVET)(注3)に、新技術を含む130件以上の寄与文書を提案しました。また、テレビ受像機などのH.266|VVC準拠製品の開発に必要な適合性規格の策定を主導しました。
実用化の研究では、H.266|VVCに対応した世界初の4Kリアルタイムコーデックを開発(注4)し、4K/8K対応のリアルタイム映像伝送実験に成功しました(注5)(注6)。さらに、12Mbpsでの4K映像伝送の実証実験では、高圧縮低ビットレート伝送でも安定した映像品質を維持できることを確認しました(注7)。
KDDI総合研究所は、今回の成果で多くの利用者に高品質な映像サービスを提供する可能性を広げたことが評価され、このたびの受賞となりました。
■ 受賞者
受賞内容 | 所属 | 氏名 |
---|---|---|
電子情報通信学会 業績賞(ロ号) | 株式会社KDDI総合研究所 | 河村 圭 |
株式会社KDDI総合研究所 ※本研究開発時点 | 海野 恭平 | |
株式会社KDDI総合研究所 | 木谷 佳隆 |
(注1)2020年に国際標準化された映像符号化方式。H.265|HEVCよりも符号化性能が大幅に向上しており、H.265|HEVCに対して同じ映像品質を保ちながらデータ量を削減することが可能。
(注2)2013年に国際標準化された映像符号化方式。4Kや8Kの高解像度映像の配信やストリーミングに広く利用されている。
(注3)次世代規格の開発や普及を目的とし、ISO/IECやITUが共同で設立した映像符号化方式の国際標準化を進める専門チーム。
(注4)2020年9月1日 KDDI総合研究所プレスリリース
世界初 最新の映像符号化方式H.266|VVCに対応した4Kリアルタイムエンコーダを開発
(注5)2020年12月23日 KDDI総合研究所プレスリリース
世界初 最新の映像符号化方式H.266|VVC対応のリアルタイムコーデックを用いた4Kライブ伝送の実証実験に成功
(注6)2021年4月19日 KDDI総合研究所プレスリリース
世界初 最新の映像符号化方式H.266|VVC対応のリアルタイムコーデックを用いた8Kライブ伝送の実証実験に成功
(注7)2021年12月23日 KDDI総合研究所プレスリリース
映像符号化方式H.266|VVC対応リアルタイムコーデックを用いた4K/60fpsの映像伝送に成功
【H.266|VVC対応リアルタイムコーデックに関する招待論文の概要】
H.266|VVC対応リアルタイムコーデックを実現する上で適用したコア技術、リアルタイムコーデックの各種評価実験、今後の拡がりを紹介しています。
【原著論文情報】
木谷 佳隆, 海野 恭平, 河村 圭, H.266|VVC対応4K/8Kリアルタイムコーデックの開発, 映像情報メディア学会誌, 2024, 78 巻, 1 号, p. 115-123, 公開日 2024/01/01
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