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世界初、Beyond 5G/6Gで伝送可能なカラーホログラフィック動画像の高効率圧縮方式を開発
2026年1月29日
株式会社KDDI総合研究所
KDDI総合研究所は、2026年1月23日、Beyond 5G/6Gでの利用を想定し、1.5Gbps以下(注1)の伝送レートまでカラーホログラフィック動画像を高効率に圧縮できる方式(以下 本方式)を世界で初めて開発しました(注2)。
カラーホログラフィック動画像は、光の強さを示す「振幅情報」と、光の進み方や空間的なずれを示す「位相情報」から構成される「物体光データ(注3)」によって立体動画像として再現されます。このうち、データ量が膨大な「位相情報」の圧縮方法が課題でした。
本方式では「振幅情報」の重要領域を分析した結果を「ガイド役」として活用することで、「位相情報」の圧縮効率を飛躍的に高めることに成功しました。

本方式のイメージ図
また、本方式を用い、Beyond 5G共用研究開発テストベッド環境(注4)でカラーホログラフィック動画像をリアルタイム伝送する実証(以下 本実証)に成功しました。カラーホログラフィック動画像は遠隔コミュニケーションによるトレーニングの指導や作業支援などへの活用が期待されています。本実証の成功により、モバイル通信を介して複数拠点で同じ空間を共有し、離れた場所にいる人もあたかも隣にいるかのような臨場感を提供することが可能となります。

本実証のシステム構成図
KDDI総合研究所は、教育や医療、働き方改革など多様な分野や施策での社会実装を可能とするため、今後もカラーホログラフィック動画像の利活用促進に向けた研究開発を進めていきます。
〈別紙〉
1.背景
ホログラフィーは、2030年代の実用化が期待される最先端の立体映像技術です。現在、コンピューターを用いて作成される「計算機合成ホログラム(Computer-Generated Hologram、以下 CGH)」やディスプレイなどさまざまな分野で研究開発が盛んに進められています。また、臨場感のある遠隔コミュニケーションへの活用に向けて、データ量が膨大なカラーホログラフィック動画像の効率的な圧縮技術の開発が期待されています。
KDDI総合研究所は、これまで高精細映像や3D映像の視聴体験向上に向けた研究開発に取り組んできました。カラーホログラフィック動画像についても、CGHと映像圧縮技術の研究開発を進め成果を発表してきました(注5)。一方で、カラーホログラフィック動画像は非圧縮で72Gbps、KDDI総合研究所が開発した圧縮方式でも約2.4Gbpsの伝送レートが必要で、モバイル通信でのリアルタイム伝送は困難でした。
2.本方式について
カラーホログラフィック動画像の再生に必要な「物体光データ」は、「振幅情報」と、「位相情報」の2つで構成され、いずれも動画像データとして扱われます。これらは通常の映像とは異なり、無数の光波が重なり合い複雑で一見するとノイズ状の模様となります。また、一般的な動画像圧縮方式が前提とする時空間方向の相関(注6)が低く、圧縮効率を高めることが極めて困難という性質を持っています。本方式では、膨大なデータ量の「位相情報」を圧縮するために、「振幅情報」の分析結果を「ガイド役」として活用しました。圧縮方法は以下の通りです。
・光の強さを示す振幅情報を分析し、再生品質に強い影響を及ぼす重要な領域を特定。
・振幅情報の分析で得られた各領域の重要度を、同時刻の位相情報に対応づけることで、位相情報の領域ごとの重要度を決定。重要な領域の位相情報は再生品質の維持のために変更せず、重要ではない領域の位相情報は、圧縮効率を高めるため再生品質に影響を与えない範囲で規則的な模様へ変換。
・この変換で位相情報の時空間方向における相関を強化できるため、その後は一般的な動画像圧縮方式を用いて位相情報を高効率に圧縮。
これにより画質を維持したまま、位相情報の効率的な圧縮を実現し、1.5Gbps以下の伝送レートを可能としました。
本実証で使用したホログラフィー再生装置は北海道大学 大学院情報科学研究院 坂本 雄児 名誉教授ならびに姜 錫 助教の協力を得て開発しました(注7)。また、3D撮影には株式会社クレッセント(本社:東京都江東区、代表取締役:小谷 創)の協力を得ました。
本方式の開発と本実証は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」での委託研究「Beyond 5G網におけるホログラフィ通信のための高効率圧縮伝送技術の研究開発」(JPJ012368C06801)の一環として行いました。
(参考)
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KDDI Tech note:次世代立体映像技術「ホログラフィー」のリアルタイム伝送の実証に成功
(注1)2026年時点において日本国内の5G SAダウンロード・スピードは150Mbpsを超えており、将来的な広帯域化・高効率化により10倍となる1.5Gbps以下に抑えることを想定
(注2)2026年1月29日現在、KDDI総合研究所調べ
(注3)物体から伝搬する光の情報を記録したカラーホログラフィック動画像の再生の基盤となるデータ
(注4)本実験には、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が整備するBeyond 5G共用研究開発テストベッドを活用。
(注5)2022年5月9日報道発表
ホログラフィーのサイズや視域角を維持しながらカラーアニメーション化に成功
~Beyond 5G/6G時代に期待されるメディア体験の実現に向けて~
2025年10月14日トピックス
カラーホログラフィック動画像の6DoFストリーミング圧縮伝送に成功
~Beyond 5G/6G時代の新たな映像体験の実現に向けて~
(注6)映像データにおいて、画面内の隣り合う画素同士の色や明るさが似ていること(空間方向)や、連続する前後のコマ(フレーム)の間で絵柄が大きく変化しないこと(時間方向)を指す。一般的な動画像圧縮方式は、この「似ている部分」をまとめて省略して記録することでデータ量を劇的に削減。
(注7)電子ホログラフィックHMD装置の開発
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