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5Gを活用した屋外ワークスペースの実証実験を実施

~特定のオフィスに限らず快適に働ける新たなワークスタイルを目指して~

2022年3月25日
株式会社KDDI総合研究所

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下「KDDI総合研究所」)は、2022年3月7日から3月17日まで、西新宿エリアにおいて、特定のオフィスに限らず快適に働ける新たなワークスタイルの確立を目指して、5Gを活用した屋外ワークスペースの実証実験(以下「本実証実験」)を行いました。
本実証実験は、東京都の「5Gを含む先端技術を活用したスマートシティサービス実証事業」に採択されたことを受けて行ったものです。(注1)
本実証実験では、360度映像の見たい・聴きたい部分に自由にフォーカスできる「遠隔空間再現システム」および人の表情を高精度で分析・可視化する「グループワーク活性度のモニタリング」により、屋外のテント型ワークスペースにいながらも遠隔の会議室と臨場感のあるオンライングループワークを可能にしました。

 

1.背景・目的
西新宿エリアは、公園や道路、公開空地などが多く、エリアの約80%がオープンスペースであり、この広大なオープンスペースを有効に活用していくことが「西新宿地区まちづくり指針」(2021年4月改定、西新宿懇談会)に定められています。
本実証実験は、5Gおよび先端技術を活用したオンライングループワーク環境を屋外に構築し、技術・運用・事業面での課題を可視化することで、新しいワークスタイルを実現するサービスの実用化を加速することを目的として実施しました。

 

2.実証実験の概要
西新宿エリアの空地・公園にテント型ワークスペースを仮設し、5Gおよび遠隔空間を再現する先端技術を導入。テント型ワークスペースにいるワーカーと遠隔の会議室をつなぎ、オンライングループワークを実施しました。

 

 

<テント型ワークスペースの実証の様子>

 

 

 

<遠隔会議室の実証の様子>

 

 

1)実施期間:
2022年3月7日から3月17日

 

2)実施場所:
        テント型ワークスペース設置場所:
           ●新宿中央公園 眺望のもり
           ●工学院大学 エステック広場
        遠隔会議室:
           ●KDDI research atelier会議室(東京都港区)
           ●TOKYO UPGRADE SQUARE会議室(東京都新宿区)

 

 

<眺望のもりに設置したテント型ワークスペース>

 

 

<エステック広場に設置したテント型ワークスペース>

 

 

3)遠隔空間再現システム:
360度動画の見たい・聴きたい部分に自由自在にフォーカスできる、KDDI総合研究所独自のインタラクティブ視聴技術「音のVR」(注2)を応用して、遠隔空間の再現システムを新たに開発しました。
これにより、離れた場所の状況を360度映像と音場(音の聞こえてくる方向や大きさを含む、音の広がる空間)で感じながら、特に見たい・聴きたい部分にリアルタイムに近づいたり遠ざかったりできるようになり、これまでオンライン上の実施では課題があった、密なコミュニケーションを必要とするグループワークの円滑な実施を支援します。

 

4)グループワーク活性度のモニタリング:
KDDI総合研究所が開発している、ポジティブ・ニュートラル・ネガティブの表情を高精度に分析できる「顔領域適応型表情認識AI」(注3)を応用し、グループワークの活性度を分析し可視化できるようにしました。
これにより、グループワークの活性度に応じた議論の進行やグループワークの効率向上を支援します。

 

5)実施結果:
オンライングループワーク中に、自身の見たい・聴きたい部分に自由にフォーカスできることおよび、グループワーク活性度を可視化できることで、参加者の約88%が普段のWeb会議と比べて、オンライングループワークの活性度が高くなったと回答しました。活性度が高くなったと回答した人の内、360度映像が寄与したと回答した人は約94%、音場の伝送が寄与したと回答した人は約84%、グループワーク活性度の可視化が寄与したと回答した人は約80%となりました。

また、参加者からは、「非日常感が味わえる空間で、普段では出てこない新たなアイディアが生まれそう」、「自身が注目したい部分にフォーカスできることで、議論の内容がより理解できる」、「議論内容に応じた空間設計が重要」といった意見が挙がりました。

 

3.協力会社および各社の役割

 

事業者 実施内容
KDDI総合研究所

5G技術を活用した実証実施
遠隔空間再現システムの開発
グループワーク活性度のモニタリングシステムの開発

大成建設

屋外ワークスペース設置・運営

小田急電鉄

新宿中央公園での屋外ワークスペース設置・運営の協力

公園財団

新宿中央公園での屋外ワークスペース設置・運営の協力

 

4.今後について
KDDI総合研究所は、いつでも、どこでも快適に働ける新しいワークスタイルの実現を目指して、技術面・運用面・事業面でのさらなる洗い出しと対応方針の策定を行い、西新宿のスマートシティの実現に向けて貢献していきます。

 

■ KDDI総合研究所の取り組みについて
KDDIとKDDI総合研究所は、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定し、その具体化に向け、イノベーションを生むためのエコシステムの醸成に必要と考えられる「将来像」と「テクノロジー」の両面についてBeyond 5G/6Gホワイトペーパーにまとめました。
両社は新たなライフスタイルの実現を目指し、7つのテクノロジーと、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進します。今回の取り組みは7つのテクノロジーの中の「AI」「XR」に該当します。

 

 

 

(注1)2021年10月25日プレスリリース
西新宿エリアにおける5Gを含む先端技術を活用したスマートシティサービス実証事業に採択
(注2)音のVR
(注3)顔領域適応型表情認識AI

 

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。