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調査レポート R&A「マスプロダクトが売れない時代のD2C - part2 - 〜国内D2Cビジネスや既存企業のD2C転換への示唆」

2021年9月14日
株式会社KDDI総合研究所

KDDI総合研究所は、国内外のICT市場動向、情報通信政策などについて多角的な視点から調査したレポートR&Aを発行しました。

 

タイトル:マスプロダクトが売れない時代のD2C - part2 - 〜国内D2Cビジネスや既存企業のD2C転換への示唆

執筆者 :沖 賢太郎

 

サマリー

D2C(Direct to Consumer)とは、ブランドが顧客とダイレクトな関係を持つビジネスのスタイルだ。顧客と直接つながることで、「直販」と「ダイレクトなコミュニケーション」が可能になる。本レポートではD2Cにおける2つの点に着目した。

 

1つ目が「国内のD2Cビジネス全般に必要なこと(1章)」だ。「直販」モデルでは合理的な価格設定が可能になる。既に安くて良いモノで溢れる国内では、中・高価格帯での新しい価値の追及が重要になるだろう。さらに「ダイレクトコミュニケーション」において、国内で特に重要となり得るのは、世界観を作り伝えていくことだ。他国の人より日本人は「世界観」を好むと考えられる。

 

2つ目は「既存企業のD2C転換に必要なこと(2章)」だ。既存企業のD2C転換では、既存アセット、特に既存流通との衝突の克服が鍵となる。例えば、家電メーカーのD2C転換に対しては、長年の流通パートナーである量販店からの反発が起き得る。この課題に対するアプローチとして2つの考え方を共有する。1つは「強い共感を集めてファンと共にD2C転換」であり、好例はNIKEだ。NIKEのD2C転換の根幹を支えるのは、同社が昔から大事にしてきた世界観と、それに共感するファンの存在だ。ファンは売る場所が変わってもついてきてくれる。もう1つのアプローチは「ゼロベースでの価値刷新、衝突回避型のD2C転換」だ。肝は、流通上の制約をないものとし、本来提供したかった価値に立ち戻り商品を構想する、それをD2Cで提供することだ。既存流通を考慮せずに構想した商品は、小売店なども扱いづらく反発も起きづらい。キリンもミツカンも、本来提供したかった価値を土台として商品を創出し、同時に既存流通との正面衝突を回避している。

 

D2Cは商売の原点回帰でもあり、多くの企業にとって大事になり得る。なぜなら、顧客と話し、理解し、伝え、売る、というのは商売の基本であり原点だからだ。モノが溢れる時代において、原点回帰と提供価値の刷新は、企業と顧客の双方にメリットになり得る。

 

地域:米国・日本

 

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