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6Gに向け、高品質な通信と基地局の消費電力低減を両立する「4次元リソース制御技術」の実証に成功

2026年5月20日
株式会社KDDI総合研究所

KDDI総合研究所はノキアソリューションズ&ネットワークス Oy(本社:フィンランド エスポー、社外広報・マーケティング統括責任者:リック・フート、以下 ノキア)と、2026年4月20日に、サステナブルな6G実現に向けた基地局技術「4次元リソース制御技術」(以下 本技術)を開発し、実証実験(以下 本実証)に成功しました。商用装置において、4次元のリソースを組み合わせて高品質な通信と基地局の消費電力低減を同時に実現する技術は世界初です(注1)。
本実証は米国のノキア ベル研究所(本社:アメリカ合衆国 ニュージャージー州  マレーヒル、所長:ピーター・ヴェッター)において、5Gの商用基地局装置を模擬した環境で実施しました。その結果、基地局の消費電力を最大約40%低減できること、5G基地局装置と同等の消費電力で最大約4倍の通信速度を実現できることを確認しました。
本技術は、総務省が推進する Beyond 5G(6G) に向けた技術戦略において重要な技術要件の一つとして掲げられている「超低消費電力」に貢献するものです。
今後、KDDI総合研究所はノキアと共に、3GPPの6G規格で本技術の標準化を目指していきます。

 

 

 

4次元リソース制御技術のイメージ図

 

 

■ 背景
通信トラフィックは、動画配信やクラウドサービス、IoTの拡大により年々増加を続けており、6G時代には、さらにAIをはじめとした新たなサービスの普及により現在を大きく上回るデータ量が想定されています。6Gのモバイルネットワークを実現するためには、通信性能の強化に向けた基地局設備の大規模化や高密度化による基地局数の増加が必要となります。その結果、ネットワーク全体、特に基地局の消費電力の増大が懸念されています。
KDDIグループは、通信品質向上とカーボンニュートラルの実現を両立することを掲げており、単に高速・大容量な6Gを目指すだけではなく、「高品質」と「低消費電力」を同時に満たすネットワーク技術の確立を目指しています。
こうした背景のもと、通信を主軸に先端技術の研究開発を進めるKDDI総合研究所と、革新的な通信技術で世界をけん引するノキア ベル研究所は、2025年11月に6Gに関する共同研究契約を締結し(注2)、6Gの実用化に向けた新たな技術の開発に取り組んできました。その共同研究のテーマのひとつが、6G基地局の通信品質向上と消費電力低減を両立するための技術です。

 

■ 本技術の概要
従来の基地局制御では、無線通信における時間、周波数、空間、送信電力の4次元のリソースを個別または限定的に最適化していました。

 

 

<基地局制御に関する4次元のリソース>

 

リソース消費電力低減の方法

時間

複数のデータをまとめて短時間で送り、基地局を省電力モード(スリープ)にできる時間を確保

周波数

トラフィック状況に応じて使用する周波数帯域を必要最小限に絞り、未使用帯域の無線回路を停止

空間

ユーザーの分布やトラフィックに応じて、基地局に多数搭載されたアンテナのうち不要なものの電源をオフ

送信電力

ユーザーごとの通信状況に応じて、必要なユーザーに必要な分だけ電力を割り当て

 

 

リソースの制御は、通信速度に影響を及ぼします。本技術では、高い通信品質を維持しながら基地局の消費電力低減を同時に実現するため、通信速度への影響を最小限にしつつ、4次元のリソースのバランスをとりながら統合制御します。例えば時間・周波数リソースを多く使う代わりに、送信電力や使用するアンテナ数を抑制するといった、従来は実現できなかった制御が可能になります。

 

■ 本実証の概要
実証期間:2026年3月から1カ月間
実証場所:
 ノキア ベル研究所(アメリカ合衆国 ニュージャージー州 マレーヒル)
 5G基地局装置の商用環境を模擬した電波暗室
実証の成果: 
・基地局の消費電力を最大約40%低減
・5G基地局装置と同等の消費電力で最大約4倍の通信速度を実現

 

 

 

本実証の様子と構成図

 

 

 

本実証の結果

 

 

■ 今後の展望
KDDI総合研究所はノキア ベル研究所と2026年4月23日に共同研究契約を新たに締結しました。
ノキア ベル研究所 無線システム研究ヘッドのハリシュ・ヴィスワナサン氏は「異なるレベルのバースト性を持つ生成AI、エージェンティックAI、およびフィジカルAIのトラフィックが通信量の大部分を占めるようになるにつれ、モバイルネットワークにおいて新たなエネルギー効率化メカニズムの重要性がますます高まっていくことになります。今回の実験では、トラフィック負荷に応じた時間および周波数リソースのインテリジェントな割り当てに、基地局アンテナおよび送信電力の制御を組み合わせることで、大幅な省電力化が達成可能であることが実証されました。これは、将来のスケーラブルかつエネルギー効率に優れたモバイルネットワークへの道を切り拓くものです。」と述べています。

 

今後、モバイルネットワークの環境負荷を下げる基盤技術として期待される本技術を応用し、よりエネルギー効率の高い6Gネットワーク技術の研究を進めていきます。

 

なお、本実証の成果について、2026年5月27日から29日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2026」で展示します。

 

■ 関連記事
KDDI Tech note:高品質と省電力を両立する6Gへ

 

 

 

(注1)4次元のリソースを組み合わせて、商用装置において通信速度への影響を最小限に抑えながら統合制御する技術が世界初。2026年5月20日KDDI総合研究所調べ。
(注2)2025年11月6日プレスリリース
KDDI総合研究所とノキア ベル研究所、6Gの実用化に向けた研究開発に関する共同研究契約を締結

 

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