世界初、鈴鹿サーキットで4K非圧縮マルチチャネル映像の光無線伝送に成功
~光ファイバの敷設が困難な場所で100Gbpsの大容量通信を実現~
2024年12月6日
国立大学法人三重大学
株式会社日立国際電気
デクセリアルズ フォトニクス ソリューションズ株式会社
株式会社KDDI総合研究所
東洋電機株式会社
国立大学法人三重大学(代表提案者、本部:三重県津市、学長:伊藤 正明、以下 三重大学)、株式会社日立国際電気(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:佐久間 嘉一郎)、デクセリアルズ フォトニクス ソリューションズ株式会社(本社:栃木県下野市、代表取締役社長:林部 和弥)、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元)、東洋電機株式会社(本社:愛知県春日井市、代表取締役社長執行役員:松尾 昇光、以下 東洋電機)は、2024年10月27日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで撮影した4チャネルの非圧縮4K映像を、オールオプティカル型光無線伝送システムと光ファイバ伝送システムを経由して55km離れたケーブルテレビ事業者の社屋までライブ伝送するフィールド実証(以下 本実証)に成功しました。既設光ファイバを含む実フィールドで光無線技術を使った4K非圧縮マルチチャネル映像の伝送(100Gbpsの通信)は世界初です(注)(図1)。
本実証では、放送・通信事業者による商用化を想定したネットワーク構成で映像を伝送しました。今回の成果により、サーキットなどの光ファイバの敷設が困難な場所から、迫力のあるモータースポーツなどの多視点・高精細映像を視聴者へ届けることが可能になります。
図1 フィールド実証イメージ図
本実証は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」委託研究「Beyond 5G 超大容量無線ネットワークのための電波・光融合無線通信システムの研究開発」(JPJ012368C00501)の一環として行いました。また、ホンダモビリティランド株式会社鈴鹿サーキットおよび株式会社シー・ティー・ワイ(以下 シー・ティー・ワイ、三重県北勢地域をサービスエリアとするケーブルテレビ事業者)の協力により実現することができました。
1.本実証の概要
これまで5者は、「臨時に大容量回線を必要とし、かつ光ファイバの敷設が難しいイベントなど」での利用を目的として、光無線技術を含む電波・光融合無線技術の研究開発を進めてきました。今回、東洋電機が開発したオールオプティカル方式光無線トランシーバ(以下 本光無線トランシーバ)を使って本実証を行いました。
(1)実証日:2024年10月27日
(2)実証場所:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
(3)実証内容(図2)
・本光無線トランシーバを逆バンクコーナー付近(拠点[1])とそこから見通すことができる350m離れたグランドスタンドの屋上(拠点[2])にそれぞれ設置
・拠点[1]で撮影した4チャネルの非圧縮4K映像(12G-SDI)信号を、商用サービスに用いられるIP伝送規格に則って単一のフレームに変換した後、拠点[2]まで光無線で伝送
・光ファイバ伝送システムを介して55km先のシー・ティー・ワイの社屋(拠点[3])へ伝送し、多視点の高品質映像を再生
図2 フィールド実証実験ネットワーク構成概略図
(4)本実証の特徴
・独自開発した光信号と電気信号の相互変換を行わない光無線トランシーバを使い、電気信号に変換することなく光信号のまま光ファイバ伝送システムと光無線伝送システムを接続させることで、光ファイバが敷設されていない場所から遠方地へ100Gbpsの通信を実現しました。
・放送・通信事業者による商用サービスを見据えたネットワーク構成で実証を行いました。
2.本光無線トランシーバについて
光無線伝送システムは、光ファイバが敷設されていない区間で一時的に臨時回線を設営する際に利用されています。従来は、光信号と電気信号の相互変換を行う方式を採用した光無線トランシーバが使用されてきました。この接続方式の伝送容量は0.1~10Gbps程度であり、6G時代に求められる性能を満たすことができませんでした(図3(a))。このたび、東洋電機が開発した本光無線トランシーバは、高速・高精度に光信号を自動追尾する機能を搭載し、光ファイバのコアから出射された光を電気信号に変換することなく光信号のまま対向側の光ファイバのコアに入射させるオールオプティカル型の接続方式を採用しました(図3(b))。この接続方式では、伝送信号のフォーマットやビットレートに依存せずに通信が可能で、既設のシングルモード光ファイバ間をシームレスに接続することが可能です。この特長により、従来型の光無線トランシーバと比較して、大容量通信を可能にしました。また、光信号と電気信号の相互変換を行わないため、消費電力や遅延を削減できます。
図3 光無線トランシーバの構成概略図:(a)従来型、(b)オールオプティカル型
(注)2024年12月6日 共同研究者調べ。
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