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JST CREST「人工知能」領域の加速フェーズ課題に採択

~異業種をつなげる安全で手軽な「ペルソナマーケティングAI」~

2021年3月22日
国立大学法人大阪大学
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学
株式会社KDDI総合研究所

国立大学法人大阪大学(所在地:大阪府吹田市、総長:西尾章治郎、大学院情報科学研究科教授:原 隆浩、以下、大阪大学)と国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(所在地:愛知県名古屋市、総長:松尾清一、未来社会創造機構教授:河口信夫、以下、名古屋大学)と株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村元、以下、KDDI総合研究所)は、国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業が行った「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化(注1)」の公募(以下、JST CREST「人工知能」)において、「異種ドメインユーザの行動予測を可能にするペルソナモデルの転移技術」(以下、本研究開発)を提案し、2021年3月18日に加速フェーズ課題に採択(注2)されました。
本研究開発では、異業種のサービス間でのマーケティングを行うためのAIとして、ID交換ではなく、各サービスで生成したペルソナを交換することにより相互送客(注3)を実現する安全で手軽な「ペルソナマーケティングAI」を構築し、事業化を見据えた実証実験を進めていきます。

 

(1)背景
Eコマースや実店舗販売などのサービスでは、ユーザの行動データから行動パターンを抽出し、ユーザに適応したサービスを提供するマーケティングが行われています。しかし、異業種のサービス間で相互送客を行うためには、通常、サービス間でIDの交換が必要ですが、プライバシーや権益の保護の観点で困難なことが多いという実情があります。

 

(2)研究内容
本研究開発では、プライバシー保護にも配慮しつつユーザに適応したマーケティングを実現するために、オンラインや実空間の様々なドメイン(サービス業者やデータ所有者)のユーザの行動データから行動パターンを抽出したモデル(以下、ペルソナモデル)を、ドメイン間で相互に利用可能にするためのAI技術を研究開発します(図1)。このAI技術は、分散表現(ベクトル)などの個人識別不能な情報でユーザの行動パターンを表現するペルソナモデル化、ドメイン間でペルソナモデルの関連付けを行うペルソナモデルの統合化、ペルソナモデルのうえでクロスドメインのユーザの行動を予測し推薦するクロスドメイン推薦・予測から構成されます。

 

 

 

図1 ペルソナモデルで異業種をつなげる安全で手軽な「ペルソナマーケティングAI」

 

 

(3)これまでの経緯と今後の予定
本研究開発は、JST CREST「人工知能」のスモールフェーズに2018年10月に採択され、2.5年間の研究を経て、Web広告ドメインで構築したペルソナモデルがEコマースドメインの商材購買予測に大きく貢献することなどを確認しました。今回新たに採択された加速フェーズでは、ドメインの範囲を実空間のドメインを含む広範なドメインに拡大し、研究開発を行います。大阪大学、名古屋大学、KDDI総合研究所は共同でペルソナモデルの統合化などのAIおよびビッグデータ解析のコア技術の構築を行うことに加え、大阪大学は高速化・大規模化、名古屋大学は実空間データへの拡張に取り組み、KDDI総合研究所はデータ提供企業との連携強化を実施し、実サービス上の実証実験を経て事業化を目指します。
本研究開発の成果は、オンライン、実空間の様々な産業分野で集客やマーケティング施策の検討に有効に活用できるだけでなく、ユーザに対してもプライバシー保護に配慮し安心安全に快適なサービスを提供できるため、ユーザと事業者の双方に大きな利益をもたらすと期待できます。

 

 

(注1)「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」に係る公募
(注2)採択結果の公表
(注3)相互送客とは、自業種のユーザに他業種のサービスや商材を推薦したり、他業種のユーザに自業種のサービスや商材を推薦したりすることにより、異業種間で相互にユーザを誘引すること

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。