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世界初、5G本格展開時代に向けた28GHz/39GHz帯デュアルバンド透明メタサーフェス反射板の開発に成功

2021年1月20日
株式会社KDDI総合研究所

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下「KDDI総合研究所」)は日本電業工作株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:瀬川 純、以下「日本電業工作」)と共同で、電波を特定方向へ反射できる28GHz/39GHz帯デュアルバンド透明メタサーフェス反射板(以下「デュアルバンド透明メタサーフェス反射板」)の開発に世界で初めて成功しました(注1)。これにより、5Gや次世代移動通信の超高速・大容量なサービスエリアを迅速に拡張することが可能となり、お客さまの利便性の向上が期待されます。

 

 

 

図1 デュアルバンド透明メタサーフェス反射板

 

 

5Gで利用する28GHz帯や、追加割当候補周波数39GHz帯(注2)などの高い周波数は、超高速・大容量な通信サービスを提供できる一方で、電波の直進性が強く、基地局のアンテナが見通せないビルや樹木の影などに電波が届き難い場所(カバレッジホール)が発生しやすい特徴があります。このような場所へ5Gサービスを提供する方法として、基地局からの電波を特定方向に反射させてカバレッジホールへ届ける『メタサーフェス反射板』(注3)が注目を集めています。

 

 

 

図2 デュアルバンド透明メタサーフェス反射板の特長と利用イメージ

 

 

このたび、KDDI総合研究所は日本電業工作と共同で、景観に配慮した透明で、28GHz帯と39GHz帯の両方の周波数をそれぞれ特定の方向に反射するデュアルバンド透明メタサーフェス反射板を開発しました。デュアルバンド透明メタサーフェス反射板には導電性フィルムと透明樹脂を用い、透明かつ薄型で大型化しても目立ちにくい構造にしました。また、反射板に多層化技術を適用し、反射板を構成する反射素子が両周波数帯で相互に干渉しにくい新たな構造を用いることにより、1枚の反射板で、5Gで利用される28GHz帯と今後5Gへの追加が想定される39GHz帯の両周波数帯への対応を可能としました。

 

 

 

図3 反射素子の構造とデュアルバンド透明メタサーフェス板の反射電力の方向特性例

 

 

あわせて、デュアルバンド透明メタサーフェス反射板を使ってフィールドで実証実験を行い、28GHz帯、39GHz帯ともに設計した方向の電波の強さが強くなることを確認しました。

 

 

 

図4 デュアルバンド透明メタサーフェス反射板を使った実験結果

 

 

KDDI総合研究所は、実用化に向け、街の景観に配慮しつつ、5Gの超高速・大容量なサービスのエリアを迅速に拡張する技術の確立を目指していきます。

 

本成果は1月25日から28日までオンラインで開催される 国際アンテナ・伝播シンポジウム(2020 International Symposium on Antennas and Propagation)で技術展示する予定です。

 

 

<KDDI総合研究所の取り組み>
KDDIとKDDI総合研究所は、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を加速する、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定しました。両社は、ネットワーク、プラットフォーム、ビジネスの3レイヤの環境整備を進めると共に、3つのレイヤを支える先端技術となる7つの分野のテクノロジーと、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進します。
今回の成果は7分野のテクノロジーの中の「ネットワーク」に該当します。

 

 

(注1)2021年1月20日時点 KDDI総合研究所調べ

 

(注2)総務省 (案)周波数再編アクションプラン(令和2年度改定版)

 

(注3)電波を鏡面反射と異なる方向に反射できる反射板。反射板は、無線エリア内に発生するカバレッジホールを、基地局と異なり電源・回線不要で通信可能なエリアにできるため、低コストにエリア拡張が可能となります。金属等の反射板では、鏡面反射であるため物理的な設置角度の制約が生じますが、メタサーフェス反射板は特定方向に反射できるため制約が軽減されます。

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。