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「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」のSociety 5.0領域で第3位を受賞

2026年10月29日
株式会社KDDI総合研究所

KDDI総合研究所は、2026年10月15日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」(以下 本事業)(注1)のSociety 5.0領域において、第3位を受賞(注2)したことをお知らせします。本事業は、量子コンピュータを活用した社会課題解決につながるユースケースの創出を目的に、NEDOが懸賞金型で実施する研究開発プログラムです。

 

今回、KDDI総合研究所はクラシック・テクノロジーズ合同会社(Classiq Technologies Ltd.日本法人:東京都千代田区、バイスプレジデント・アジア太平洋地域統括:田中 晃、以下 Classiq)と共同で、量子ブロックチェーンの研究成果「ゲート型量子コンピューティング技術を活用したハッシュ生成とブロックチェーンへの応用」(以下 本提案)を提案しました。本提案は技術的な新規性に加えて、社会実装・事業化への展開可能性が高く評価され受賞に至りました。

 

 

  

表彰式の様子

 

 

今後は、異なる量子コンピュータの間でもハッシュ値(注3)を検証できる仕組みの開発などに取り組みます。また、次世代の量子コンピュータを用いた量子ブロックチェーンの実証を行い、将来的には電力消費の少ないブロックチェーンの実現を目指します。

 

■ 受賞概要
1.事業名
NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発

 

2.受賞内容
Society 5.0領域 第3位

 

3.受賞者
チーム名:「Q-Chainners(キューチェイナーズ)」
参加メンバー:
・KDDI総合研究所:コアリサーチャー 島田 匠悟(チーム代表者)
・KDDI総合研究所:コアリサーチャー ギリ プラクランジャン
・Classiq Technologies G.K.:Senior Quantum Application Engineer 佐藤 嶺

 

4.本提案の内容
・提案名:「ゲート型量子コンピューティング技術を活用したハッシュ生成とブロックチェーンへの応用」
・概要:ビットコインに代表されるブロックチェーンの一部では、取引記録をまとめたブロックを追加するたびにハッシュ値の計算を大量に繰り返す必要があり、多くの電力を消費します。さらに、量子コンピュータが実用化されると、この計算を高速化できる参加者だけが有利になる恐れも指摘されています。本提案では、全ての参加者が量子コンピュータを用いて計算することで、公平性と省電力の両立が期待されるブロックチェーンの方式(注4)に着目しました。この方式を実現するには、量子コンピュータで生成しても、従来のハッシュ値と同じように改ざん防止に使える性質を備えたハッシュ値が必要です。そこで、量子ウォークと呼ばれる技術(注5)を用いてハッシュ値を生成する手法を考案しました。シミュレーションでは、「入力が少しでも変わると出力が大きく変わる」「異なる入力から同じ出力が出にくい」という、ハッシュ値に求められる2つの性質について、従来のハッシュ関数と同程度の性能を確認しました。また、4人の参加者が、IBM Quantumの量子コンピュータで取得した測定データを用いて、ブロックを追加できることを確認しました。

 

 

 

量子ブロックチェーンのイメージ図

 

 

■ Classiqについて
Classiqは、量子ゲート型コンピュータ向けソフトウェアの開発プラットフォームを提供する企業です。高レベルなアルゴリズムの記述から量子回路の生成・最適化、量子コンピュータやシミュレータでの実行までを一貫して支援します。従来のように量子ゲートを手作業で組み合わせ設計する負担を軽減し、企業や研究機関による量子アプリケーション開発の効率化を支援します。

 

■ 関連記事
KDDI Tech note 「量子コンピュータを活用したブロックチェーン -NEDO Challenge-」

 

■ 関連論文
1.S. Shimada, R. Sato, P. R. Giri and K. Saito, “Circuit-Level Analysis of a Quantum Walk-based Hash Architecture for Proof of Quantum Work,” IEEE International Conference on Quantum Computing and Engineering (QCE 2026), Technical Paper, 2026.(量子ハッシュの構成・シミュレーション評価)
2.S. Shimada, R. Sato, P. R. Giri and K. Saito, “Empirical Evaluation of a Quantum Walk-Based Hash Architecture on IBM Heron Processors,” IEEE International Conference on Quantum Computing and Engineering (QCE 2026), Poster, 2026.(IBM Quantum実機での量子ハッシュの評価)
3.P. R. Giri, “Quantum hash function using discrete-time quantum walk on Hanoi network,” Modern Physics Letters A, 2650086 (2026).(HN4グラフ上の量子ウォークを用いたハッシュ)

 

 

 

(注1)NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発
(注2)2026年10月16日 NEDOニュースリリース
「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」の受賞者を発表しました
(注3)任意の長さのデータから一定の規則で計算される固定長の値です。入力がわずかに異なるだけで大きく変化する性質があり、データの改ざん検知やブロックチェーンなどに利用されています。
(注4)M. H. Amin et al., “Blockchain with proof of quantum work,” Physical Review A 113, 032622 (2026).
(注5)ランダムウォーク(酔歩)の量子版にあたる計算モデルで、重ね合わせと干渉により、古典的なランダムウォークとは異なる広がり方をします。本研究では離散時間量子ウォークを用いました。

 

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