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LTE-Advanced基地局用 無線装置内蔵小型アンテナの試作開発に成功~ 直径135mm内に無線装置とアンテナを一体化、消費電力量を50%削減見込み~

2012年3月6日
株式会社KDDI研究所

 KDDI研究所は、LTE-Advanced基地局用 無線装置内蔵アンテナを試作開発しました。本アンテナは、従来のアンテナと同等サイズである直径135mmまで小型化することに成功しています。

 

 現在の携帯電話無線基地局は、電力増幅器やフィルタ等が内蔵された無線装置とアンテナが分離して設置されています。このため、基地局の簡素化と設置工事の軽減を目指し、無線装置とアンテナとの一体化の検討が始まりましたが、単純に一体化しただけではアンテナが大きくなり、返って設置する建物の強度や風荷重などの条件によっては大掛かりな工事になってしまうため、一体化と共に小型化の検討も必要となっていました。

 

 KDDI研でも、無線装置とアンテナの一体化に取り組んできましたが、このたび2GHz帯を利用して、アンテナの円筒直径を従来と同等である直径約135mmにまで小型化したLTE-Advanced向け無線装置内蔵型アンテナを試作開発しました。本アンテナでは、内部に用いられているアンテナ素子(注1)構成に新方式を採用したことで小型化を実現し、さらに高速データ通信向けMIMO(注2)への対応も可能となりました。本アンテナは小さい出力でも大きな合成出力が得られるため、従来の無線装置の電力消費量と比較して約50%の消費電力削減を見込んでいます。これにより、バッテリ駆動による無線設備のさらなる長時間運用が可能となり、災害・停電対策としての活用も期待されます。

 

 今後は、複数の周波数帯への対応を目指し、2GHz帯以外の800MHz帯、1.5GHz帯などのマルチバンド無線装置内蔵アンテナの研究開発を進めていきます。

 

以上

 

(注1)アンテナ素子:空間の電波を送受信する装置。

(注2)MIMO:Multiple Input Multiple Output 複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げる無線通信技術。

 

※本アンテナは、電気興業株式会社との共同開発によるものです。

※本研究開発成果は2012年3月電子情報通信学会総合大会での発表を予定しています。

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。