株式会社KDDI総合研究所 このページを印刷する

ICT・IoT利活用により持続可能な医療システムの実現を目指すコンソーシアムを設立

~生活者一人ひとりに合わせた保健医療サービス提供に向け、産官学医連携によるデータ流通プラットフォームを構築~

2021年10月27日
学校法人埼玉医科大学
株式会社KDDI総合研究所

学校法人埼玉医科大学(埼玉県入間郡、理事長:丸木清之 、学長:別所正美、以下「埼玉医科大学」)と株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元、以下「KDDI総合研究所」)は、企業やスタートアップ、学術団体、医療機関などのパートナーと共に、生活者一人ひとりのライフスタイルに合わせた健康管理や保健医療サービスをICT・IoTの利活用により実現することを目指して、2021年10月27日、「ライフコースデザインコンソーシアム」(以下「本コンソーシアム」)を設立しました(注1)。

 

 

 

図1.本コンソーシアムが目指す社会とプラットフォームの位置付け

 

 

本コンソーシアムでは、国際標準化されたIoTデータ流通プラットフォーム(注2)を構築し、安心・安全に「パーソナルヘルスレコード」(注3、以下「PHR」)と呼ばれる健康管理データが地域や医療機関と連携されることで、生活者一人ひとりに最適化された健康管理・保健医療サービスを提供することを目指します。

 

<コンソーシアム設立の社会的背景>
スマートフォンや健康管理アプリなどの普及に伴い、データ化された患者個々の生活習慣や日々の生体情報などのPHRを医療分野に活用する取り組みは広がりつつあります。しかし、標準的に導入できるデータ流通プラットフォームがないことや、また、同意をはじめとするデータ保護のあり方にも課題が多いことが、医療分野におけるデータ利活用の普及を妨げています。本コンソーシアムでは、国際標準化IoTデータ流通プラットフォームを構築することに加え、異なる組織間でデータを連携する際の本人同意の取り方について、法制度・倫理・ユーザビリティなど多角的な視点で安全性を検証しながらデータ利活用の実証実験に取り組んでいきます。

 

<コンソーシアムの活動内容>
生活者一人ひとりの健康づくりに向け、以下の4つの取り組みを軸に、本コンソーシアム参画団体と共にワーキンググループの組成や共同研究・開発、社会実装を進めます。

 

(1)異なる組織間でデータを利活用するための国際標準IoTデータ流通プラットフォームの構築と埼玉県医療圏での実装
(2)本人同意のもとで安心・安全にPHRを活用できるよう、プライバシー保護関連の法制度に対応したダイナミック・コンセント(注4)を実装するデータ連携技術の開発と受容性検証
(3)生活習慣病、介護などの予防・管理・改善に資する最先端技術・デジタルツールを活用した様々な実証実験
(4)産官学医連携や異業種のコラボレーションによるデータを利活用した持続可能なサービスモデルの検討

 

なお、本コンソーシアムで取り組む内容の一部は、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の研究課題「ダイナミック・コンセントを実装する先進的糖尿病デジタルデバイスの開発研究」として、2021年10月5日に採択されました(注5)。

 

<コンソーシアム参画メンバー>
2021年10月現在、以下の7つの企業・組織が参加します(順不同)。また、順次拡大していきます。

 

 

医療機器メーカー

1社

製薬企業 大日本住友製薬株式会社
ヘルスケアサービス事業者

株式会社JMDC

株式会社PREVENT

医療機関、介護・看護サービス事業者 医療法人陽仁会 上靑木中央醫院
学術研究機関・医療機関 学校法人埼玉医科大学
民間研究機関 株式会社KDDI総合研究所

 

<埼玉医科大学の主な役割>
埼玉医科大学は、学術研究機関として学術的見地から本コンソーシアム内で行われる実証実験に関わり、医学的エビデンスの創出を支援し、学術的成果を発信するとともに実証実験の内容に応じて本コンソーシアム参画メンバーへ医療フィールドを提供します。また、本コンソーシアムで構築する国際標準IoTデータ流通プラットフォームの国際展開を目指し、まずは埼玉地区での実装に取り組んでいきます。さらに、川越市に位置する埼玉医科大学総合医療センターを中心とし、同プラットフォームを通して各社との技術連携や医療分野・健康増進サービスへと活用するための普及活動を促進し、患者一人ひとりに最適化された医療の推進と地域医療連携を加速します。

 

<KDDI総合研究所の主な役割>
KDDI総合研究所は、「KDDI Accelerate 5.0(注6)」のキーとなる7つの分野のテクノロジー「ネットワーク」「セキュリティ」「IoT」「プラットフォーム」「AI」「XR」「ロボティクス」と、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進しています。本コンソーシアムでは埼玉医科大学と共に医療分野における応用研究を進めます。特に「プラットフォーム」「セキュリティ」「IoT」については、KDDI総合研究所が開発したパーソナルデータの流通とプライバシー保護の両立を図るPPM(注7)の技術を生かし、安心・安全なデータ流通の実現に努めます。また、「AI」「XR」については、患者・サービス利用者や医療従事者などに対し、これまでの負担を軽減するための新しいデバイス・ツールの提案や開発、行動変容を促すための健康管理サービスの開発など、フィールド実証を推進します。

 

<今後の展望>
新たな参加者を募りながら、2022年1月以降、実証実験を開始する予定です。実証実験で顕在化した課題を解決しつつ、PHRを活用した健康管理・保健医療サービスの社会実装を、2024年度に実現することを目標に取り組んでいきます。

 

 

 

(注1)Life Course Design Consortium
ライフコースデザインコンソーシアム

 

(注2)国際標準化IoTデータ流通プラットフォーム
IoTプラットフォームの国際標準化団体oneM2Mにて、標準化された技術「PPM」を活用したデータプラットフォームのこと。M2Mは人が介在しない機械同士のコミュニケーションを可能とする基礎技術のことで、相互間のデータ共有が容易になり国や業種・業界の垣根を超えた統合利用がグローバルにできるようになる。

 

(注3)PHR:Personal Health Record
個人で管理された健康に関する記録情報のこと。

 

(注4)ダイナミック・コンセント
個人情報の利用に際して、本人の同意内容を柔軟・動的(ダイナミック)に変更可能な同意取得手法のこと。

 

(注5)AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
令和3年度「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業」に係る公募(2次公募)採択研究開発課題名「ダイナミック・コンセントを実装する先進的糖尿病デジタルデバイスの開発研究」(研究代表者:埼玉医科大学、研究分担者:KDDI総合研究所)

 

(注6)KDDI Accelerate 5.0
KDDIとKDDI総合研究所が策定した、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を5Gで加速する、2030年を見据えた次世代社会構想。

 

(注7)PPM:Privacy Preference Manager
ユーザー(データ主体)が利用目的ごとに自身のパーソナルデータの提供可否を判断・登録し、これら登録内容(提供可否判定テーブル)に従い、情報システムにおけるパーソナルデータの流通制御を行う仕組みをPPMと称する。PPMはKDDI総合研究所が提案し、IoTプラットフォームの国際標準化団体oneM2Mで標準化されている。なお、本コンソーシアムでは、総務省「 IoT/BD/AI 情報通信プラットフォーム」社会実装推進事業 課題Ⅲ IoT デバイス/プラットフォーム等の連携技術の確立と相互接続検証に向けた研究開発 2017-2019年度)にて開発したAPPM(Advanced PPM)を採用する予定。

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。