株式会社KDDI総合研究所 このページを印刷する

「音のVR」を実現する、音場のズーム合成技術を開発

~音と映像が体感的に合致したインタラクティブ視聴が可能に~

2017年10月2日
株式会社KDDI総合研究所

株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中島康之、以下「KDDI総合研究所」)は、視聴者の操作や動作に応じて、収録した音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音場をリアルタイムに合成する、音場のズーム合成技術(以下、本技術)の開発に世界で初めて成功しました(注1)。本技術により「音のVR」を実現し、スマートフォンやヘッドマウントディスプレイを用いた、全天球や半天球映像の視聴したい任意の範囲の音と映像が体感的に合致したインタラクティブ視聴が可能となります。今後、次世代移動通信システム「5G」のサービス展開にあわせ、本技術は音と映像の新たな体験価値を提供するツールとして期待されます。
なお、本技術は、10月3日(火)~10月6日(金)に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「CEATEC JAPAN 2017」のKDDIブース(ホール2、C104)に展示します。

 

 

 

映像の表示範囲に合致した音場のズーム合成のイメージ図

 

 

【背景】
VRなどでのインタラクティブ視聴は、視聴者の操作や動作に応じて、任意のアングルや位置から実際のシーンをよりリアルに音と映像で体験できるため、通信や放送、エンターテイメントなど幅広い用途が見込まれています。これらのアプリケーションソフトウェアでは、映像を任意の方向への回転や任意の範囲へのズームができますが、表示される映像が変わっても再生される音場は変化しない、または再生される音場の方向が回転するのみであり、表示されている映像の範囲以外からの音が大きく混ざっており、体感的に違和感が生じていました。

 

【今回の成果】
このたび、音場の選択的合成方式の考案、導入により、音場のズーム合成技術の開発に成功しました。本技術は、複数のマイクロホンを空間的に配置したマイクロホンアレイを用いて、収録した音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音場をリアルタイムに合成することができます。これまで、ズームマイクなどと呼ばれる任意の方向の音源や音場を抽出する技術はありましたが、任意の方向を中心に、空間的に自然な広がりを持つ任意の範囲のステレオ音場を合成する技術はありませんでした。音場の選択的合成方式は、この課題を解決するとともに独自の高速化技術の採用により、スマートフォンやタブレットでもリアルタイムで合成および再生することができます。

 

【今後の展望】
KDDI総合研究所は、スポーツやイベントなどさまざまな音響環境での評価を進め、早期の実用化を目指します。

 

(注1)2017年10月2日、KDDI総合研究所調べ。収録した音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音場を合成する技術が世界初。

 

【用語説明】
音源:音が発生する源のこと。
音場:音が存在する場のこと。一般に無数の音源から成り、空間的な広がりを持つ。

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。