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平成29年春の褒章において「紫綬褒章」を受章

~「長距離高速光通信システムの分散制御技術の開発」により光海底ケーブルの高速・大容量化を実現可能に~

2017年4月28日
KDDI株式会社
株式会社KDDI総合研究所

KDDI株式会社(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 田中孝司)と株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中島康之)は、KDDI総合研究所 主席研究員である鈴木正敏(すずき まさとし)が平成29年春の褒章において、「長距離高速光通信システムの分散制御技術の開発」により紫綬褒章を受章することになりましたのでお知らせします。

紫綬褒章は、科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた個人に授与されるものです。なお、伝達式は2017年5月16日に行われる予定です。

このたびの受章は、長距離光通信システムの高速化を実現する分散制御技術を開発し、グローバル通信ネットワークの大容量化に貢献したことによるものです。これにより、光海底ケーブルにおける伝送容量を1ファイバペアあたり、これまでの20Gbit/s(2.5Gbit/s×8波)から960Gbit/s(10Gbit/s×96波)まで飛躍的に高め、国内・国際間の光ファイバ通信システムの高速・大容量化を可能としました。

 

<「長距離高速光通信システムの分散制御技術の開発」による成果>

 

【受章概要】

1. 受章者

KDDI株式会社 元 研究開発フェロー

株式会社KDDI総合研究所 主席研究員

鈴木 正敏(すずき まさとし)

 

2. 業績概要

1990年代半ば、ブロードバンド通信の急速な普及に伴い、国内・国際間の光ファイバ通信システムの高速・大容量化が急務となっていましたが、光ファイバ伝搬における波長分散と非線形光学効果の複合的な影響により、従来技術による伝送速度の高速化は限界に達していたため、限界を打破する技術が求められていました。

これらの問題を克服するため、波長分散の符号が異なる光ファイバを周期的に組み合わせた新たな光伝送路で構成される分散制御技術(分散制御光ソリトン通信方式)を考案するとともに、分散制御光伝送路での高速通信を実現するための光パルス送信装置を開発しました。これにより、1波長当たりの信号速度を毎秒10ギガビットへと高速化するとともに最大100波長の伝送を可能とし、1光ファイバ当たりの総容量がテラビット級の大洋横断長距離伝送を初めて達成しました。

本開発は、太平洋・大西洋横断光海底ケーブル等多くの光通信システムで商用化され、特に2000年代に敷設されたほとんどの太平洋及び大西洋横断光海底ケーブルシステム並びにアジア地区の光海底ケーブルシステムに採用されるなど、グローバルネットワークの大容量化による国際間の快適なインターネット通信環境の整備に寄与し、国民生活の質的向上に貢献しました。

 

<長距離高速光通信システムにおける分散制御技術の概要>

 

3. 鈴木 正敏の主な受賞・表彰

・平成8年 電子情報通信学会 論文賞

・平成16年 電気情報通信学会 業績賞

・平成18年 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)

・平成18年 日本工業新聞社 先端技術大賞 経済産業大臣賞

・平成21年 光産業技術振興協会 櫻井健二郎氏記念賞

・平成24年 逓信協会 前島密賞

・IEEE、OSA、電子情報通信学会 各フェロー

 

※ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。 商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。